5月4日に静岡県の富士スピードウェイで開催された2023スーパーGT第2戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 450km RACE』の決勝。GT500クラスのポールポジションからレースに臨んだ山本尚貴/牧野任祐組STANLEY NSX-GTは、序盤にトップを走行するも2位に終わった。

 前日に行われた公式予選Q2で牧野が自身2度目となるポールポジションを獲得したSTANLEY NSX-GT。迎えた450km、100周で争われる決勝では、スタートドライバーを務める牧野がレース序盤から2番手以下を引き離しにかかる。

 牧野は7周目まで1分29〜30秒台前半のラップタイムを記録し、2番手の16号車ARTA MUGEN NSX-GT福住仁嶺におよそ1.5秒差つけて単独走行を続けるも、GT300のバックマーカーが現れ始めた8周目に状況が一変する。

「完全にピックアップに影響されました」と牧野はそのときの状況を振り返った。ピックアップとは、路面に落ちたタイヤカスがタイヤの表面についてペースダウンしてしまう現象のことだ。STANLEY NSX-GTはバックマーカーをかわす際にタイヤカスを拾ってしまい突如として1分31秒台後半にペースダウン、2番手の16号車ARTA MUGEN NSX-GTが0.478秒差の背後に迫るピンチに陥る。

「今回はピックアップがついていない周のほうが少なかったです。特にあのとき(8〜10周目)はピックアップが多かったので、ちょっと厳しかったですね」

 その後もピックアップは「基本は取れませんでした」という牧野。しかし「(ピックアップが)少なくなるときもありました」との言葉どおり、13周目にはペースを1分29秒台に戻して首位の座を死守すると、31周目に1回目のピットインを行ってダブルスティントを実施、安定した走りで63周を走りきり、パートナーの山本にマシンを託す。

 ステアリングを引き継いだ山本も1分29〜30秒台の安定したラップタイムを刻み、「当初の予定どおりの走行」を完遂したSTANLEY NSX-GT。しかし、ポジションとしてはピットインのタイミングでau TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)に逆転を許し、2位フィニッシュという結果で第2戦を終えた。

 ゴールデンウイークということでグランドスタンドは多くの観客が来場した今回の第2戦。レース後の表彰式では笑顔をみせていた山本と牧野だが、囲み会見の場に笑顔はなかった。

「全体的なペースを見ると『2位で終われたことはよかった』と思わないといけないくらいのペースでした。全体的なラップタイムや、ベストラップなどを含めると、今日は2位の速さではなかったと思います」と、言葉少なめにレースを総括した山本。

 そして牧野も「正直今日は36号車(au TOM’S GR Supra)に完敗でした。その部分は素直に認めます。ですが、僕たちが持っているレースペースに関しては、もっとできることがあると思いますし、今日の第3スティントでは17号車(Astemo NSX-GT)が速さをみせていたので、良い部分は参考にして、次戦また頑張りたいです」と淡々に語った。

  今回の第2戦の結果は「予選からの『牧野の頑張り』の一言につきる」と語った山本。この2位で山本と牧野はドライバーズランキング4位に浮上することになった。しかし、ホンダ陣営とTEAM KUNIMITSUが目標とする“タイトル奪還”のためには次戦の鈴鹿大会が勝負になるはず。そこで3メーカーが戦うGT500の勢力図が見えてくるかもしれない。