6月3日、ル・マン市内のリパブリック広場で行われたWEC世界耐久選手権第4戦/第91回ル・マン24時間レースの公開車検において、トヨタGAZOO Racingの2台のGR010ハイブリッドの特別カラーリングが、一般に初披露された。

 1923年に第1回が開催されたル・マン24時間レースは、今年が100周年記念大会ということで、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツやニールセン・レーシングをはじめ、多くのチームが特別カラーリングをまとってル・マンに登場している。

 GR010ハイブリッドは、基本のカラーリングスキームは通常と変わらないものの、ノーズ脇やフロント&リヤフェンダー上、そしてエンジンカバー上のシャークフィン部分に、桜がデザインされている。

 このデザインの理由についてチーム代表の小林可夢偉は、豊田章男トヨタ自動車現会長の『社長最後の日』というトヨタイムズの動画に最初のヒントがあったと明かした。

 そこで豊田会長が『桜は日本の象徴』と語っていたことに共鳴した可夢偉が「この100周年大会は日本代表として勝ちにいくという思いで、『桜を入れさせてもらえませんか』というところから始まった」そうだ。

「桜のデザインについて会長や佐藤(恒治)社長とディスカッションしているときに、最初は桜だと速度で飛び散ってしまうイメージかなというのもあったのですが、『散ったらだめだろう』と。『咲かさなければいけない』となりました」

 それは単に日本の象徴というだけでなく、現在トヨタやWECが取り組んでいる課題に対しても、シンクロする部分があるようだ。

「その“咲かす”というのは、このWECにハイブリッドを持ち込んできたときとか、この前も発表があったように水素(を動力源としたレーシングカー)に取り組んでいる現在を考えても、やっぱり“種を植えて咲かすとき”なんですね。だから、“咲かそう”という意味で、やっています」