6月3日、第91回ル・マン24時間レースの公開車検2日目がル・マン市内のリパブリック広場で行われ、参戦する各車両とドライバーが登場、マシン各部のチェックを含む車検や装備品確認等の参加受付、記念写真の撮影などを行った。

 初日となった6月2日に車検を済ませた39台に続き、残る23台のマシンとドライバーが姿を見せたこの日。前日に続き晴れ渡る空の下、多くのハイパーカー勢含む参戦チームが、詰めかけたファンにその勇姿を見せつけた。

 この日も、あらかじめACOフランス西部自動車クラブより発行されたタイムテーブルに従い、市街地から南に数km離れたところに位置するサルト・サーキット(ル・マン24時間サーキット)から1台ずつマシンが広場へと運ばれ、各部の寸法などが計測されていく。

 この日のトップバッターとなったのはノースウエストAMRの98号車アストンマーティン・バンテージAMR。“トップアマ”ポール・ダラ・ラナの引退表明により参戦枠を譲り受けたハート・オブ・レーシングチームが実質のオペレートを担うLMGTEアマクラスのチームだ。

 3&4番手となったケッセル・レーシングの2台では、57号車フェラーリ488 GTE Evoで木村武史、74号車フェラーリでケイ・コッツォリーノ/辻子依旦/横溝直輝という、総勢4名の日本人ドライバーが登場した。

 5回目の参戦となる木村は、「結構、慣れましたね。ですので、このイベントに向けてどうこうというのはなくて、落ち着いている感じです」と語る。

「藤井(誠暢)選手のシミュレーターでもかなりやってきているので、そこでは(3分)54秒近いタイムが出ているので、そのくらいを狙っていきたいですね」

 また、ル・マン初参戦となる74号車の辻子は、旧来から交流のあった木村からケッセルの参戦枠への誘いを2〜3月頃に受け、「分からないことだったのですが、とりあえず挑戦してみようと」と大きな決断を下し、今回のル・マン参戦に踏み切ったという。参戦にあたっては、イタリアのモンツァとスペインのアラゴンで合計6日間のテストを行い、ル・マンに乗り込んできた。

 その後は、いよいよハイパーカークラスの車両たちがメインに。まずは3台のポルシェ963で挑む、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが登場。続いて、キャデラック・レーシングおよびアクション・エクスプレス・レーシングの3台のキャデラックVシリーズ.Rが、1台のトランスポーターに載せられて広場に姿を見せた。

 さらに昼休み前には、6連覇を狙うトヨタGAZOO Racingの2台のGR010ハイブリッドがサーキットから運ばれてきた。こちらの2台には、ル・マン特別カラーリングとして、桜のデザインがマシンに採用されている。

 午後の部ではグリッケンハウス・レーシングの2台のグリッケンハウス007が姿を見せたが、708号車の方はエンジンカバー上の垂直フィンの左右に、手書き風のイラストが入れられた“アートカー”仕様となっており、多くの観客の熱視線を浴びていた。

 2日間の大トリを飾ったのはフェラーリAFコルセの2台のフェラーリ499Pだった。

 そしてちょうどフェラーリの2台が登場する頃、広場から200mほど離れた公道には、1923年の第1回優勝車であるシェナール&ウォルカーと、選抜された7台の2023年参戦車両が集結。封鎖された公道(トラム軌道含む)の上をパレードする100周年記念の催しも行われ、マシンのエキゾーストノートが市街地に響いた。

 2日間に及んだ公開車検はこれにて終了。4日(日)はいよいよサルト・サーキットに場所を移し、10時から3時間、15時30分から3時間という、2回のテストデーのセッションが行われる。

 以下、車検2日目の様子を写真でお届けしよう。