F1での4年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第6戦マイアミGPに焦点を当てた。
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ドライバーズランキングを見てみてほしい。トップ10に並んでいるのは、優勝や表彰台をつかむ力があるマシンを走らせる上位チームのドライバーたちだ。そのなかにひとり、角田が混ざっている。彼は、アストンマーティンに乗るランス・ストロールより上の10位なのだ。
マイアミのスプリント予選では角田は15番手にとどまり、すべての注目はチームメイトのダニエル・リカルドに集まっていた。リカルドは4番手という素晴らしい結果を出していたからだ。
この段階で、実情を知らない人々は、角田についてこう思ったことだろう。「今回は波に乗ることはできないだろう。スプリントの1周目に気負って前に出ようとしてクラッシュし、メインレースの予選に出られなくなるんじゃないか」とか、そんな風なことを想像していたに違いない。彼らがレーシングドライバーについてどういうネガティブな考えを持っているか、私には分かっているのだ。
だが私は金曜午後のつまずきは小さなものであり、メインイベントでは通常の状態に戻るだろうと確信していた。舞台裏で何が起きているのかを知っている私は、メインイベントの方では角田がリカルドを打ち負かすだろうことを、一瞬たりとも疑わなかったのだ! 君は「怪しいものだ」という顔でこっちを見ているが、私が今まで一度だって間違ったことがあっただろうか。
とはいえ、私ですら、角田がこれほどすばやく立ち直るとは予想していなかった。スプリントを15番グリッドからスタートしたにもかかわらず、8位を獲得してポイントをつかんだ。もちろん、ランド・ノリスとアストンマーティンのふたりが後退したことが助けになったのは間違いないが、それでも8位に入るためには、ケビン・マグヌッセン、エステバン・オコン、メルセデスのふたりを破る必要があった。そう、メルセデス勢に勝ってポイント圏内に入ったのだ。
角田とルイス・ハミルトンのバトルは見応えがあった(マグヌッセンのバトルとは大違いだ)。角田はクリーンな走りをし、最終ラップではハミルトンに抜かれて9番手に落ちたものの、ハミルトンがペナルティを受けたことで、ポイント圏内に復帰した。
素晴らしいスプリントの後だけに、メインレースの予選にも大きな期待をかけていた。実際、角田は期待を裏切ることなく、Q3に進出し、トップ10のグリッドを確保した後、日曜決勝では1周目にジョージ・ラッセルの前に出た。数周でラッセルの後ろに落ちたけれど、タイヤをうまく持たせたことでセーフティカー出動時にピットストップを行うことができて、ニコ・ヒュルケンベルグ、ラッセル、そしてハミルトンの前に立った。7度の世界チャンピオンに対しては太刀打ちできなかったものの、ラッセルを後ろに抑え続け、ギャップを広げることができた。それは並大抵のことではない。
オスカー・ピアストリがダメージのためにピットインしたために、角田は7位を獲得。チームに貴重な6ポイントをもたらした。
速さを持ち、成熟し、タイヤマネジメント能力でも優れ、戦うべき時を選ぶ力もある。角田は、際立った競争力を持たないマシンに乗るドライバーのなかでは、最高のパフォーマンスを発揮していると、私は思う。ヒュルケンベルグよりも輝いているとさえ思うのだ。
レッドブルが角田を来年昇格させず、ファエンツァのチームにとどめておくつもりであれば、2025年のシートに空きがあるアルピーヌ、ザウバー、ウイリアムズ、ハースのボスは、彼の獲得に動くべきだ。
RB代表のローレン・メキースは最近こう言った。「裕毅は一年ごとに、強さを増し、シーズンのなかで大きく進歩している。来年もっと強くなるのは間違いないだろう。どこが彼の限界なのか、私には分からないし、彼自身にも分からないのではないかな」
直接のボスがこう言っているのだ。これ以上信頼できる評価はないだろう。角田が来年どこまで進歩するのか、ぜひとも見てみたいものだ。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第6戦】「どんどん強くなる。まだ限界が見えない」代表も太鼓判のポテンシャル
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