公の場での意見の不一致と、物議を醸すような出来事が起きていた長い期間を経て、FIAとフォーミュラワン・マネジメント(FOM)は和解し、スポーツの将来のための新しい“戦略計画”において協力している。

 この新たな協力関係は、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムと、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリの話し合いに続くものだ。両者は水曜日に声明を発表し、F1の現在の強さと世界的な成長を認め、スポーツとその関係者の大義のためにともに尽力することを強調した。

「FIA F1世界選手権はかつてないほど強力になり、世界的な成長を遂げている。FIAとF1は、スポーツ全体に最高の結果をもたらすことに専念している」とFIAはウェブサイトで述べた。

「そのために両者は、今後数年間のF1の可能性をさらに高める機会を捉えるために、新しい戦略計画を策定している」

 この発表は簡潔なもので、両当事者の戦略計画が何を伴うかについての見解は示されていない。

 FIAのビン・スライエム会長が権力と影響力を誇示するためか、FOMとは相容れない経営スタイルを過去18カ月にわたって続けたことで、ふたつの派閥は公の場や非公開の場で対立してきた。それでもなお、彼らにとってこれは歓迎すべきリセットとなった。

 ビン・スライエムとFOMの間で緊張が高まったのは2023年初頭のことだ。ビン・スライエムは、F1が200億ドル(約3兆791億円)で買収されるといううわさについて、そのオファーは“高すぎる”とコメントし、それに対しドメニカリが強い反応を示して批判したのだ。

 その後、FIAがF1世界選手権に参戦を希望している、競争力を持ち合わせた有望なチームを特定するための申請プロセスを開始したことに対し、FOMは冷ややかな反応を示した。最終的にFIAはアンドレッティ・キャデラックの参戦にゴーサインを出したが、そのエントリーは数カ月後にF1によって却下された。

 また、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフと、彼の妻でF1アカデミーCEOのスージー・ウォルフによる利益相反問題の可能性について、FIAが短期間調査を行ったこともあった。FIAは調査を取り下げたが、スージー・ウォルフはFIAに対して法的措置を開始した。この訴訟はいまだ係争中だ。

 ビン・スライエム自身も、レースの決定に干渉したという内部告発者による主張に関して調査を受けたが、FIAの倫理委員会によって最終的に潔白と証明された。

 現在、両者は統一戦線を張って前進することに専念しているようだ。これにより各当事者が、本当に重要なこと、つまり、エキサイティングで競争力があり、進化し続けるF1体験を競技者やF1ファンに提供することに集中できるはずだ。