ルイス・ハミルトンは、メルセデスが次期ドライバーの候補として育成を進めているアンドレア・キミ・アントネッリを、自分の後任として起用するようあえて促した。7度の世界チャンピオンであるハミルトンは、2007年シーズンの初めにマクラーレンが彼自身に対して行ったように、若いドライバーの早いうちの起用を擁護する姿勢をとっている。

 自分がメルセデスを離れる2025年に、カルロス・サインツがふさわしい後任になるかどうかを尋ねられたハミルトンは、サインツのことを称賛しながらもアントネッリの起用を望んでいることを明確にした。

「カルロス(・サインツ)は素晴らしいドライバーなので、彼はどのチームへ行ったとしてもポジティブな存在になると思う。正直なところ、トト(・ウォルフ代表)の計画がどのようなものなのか分からないけれど、もしそれが僕の仕事であったなら、おそらくキミを迎え入れるだろう」

 これはF1界のビッグネームからの非常に大きなお墨付きだ。なおハミルトンは、若いイタリア人がメルセデスと早々に行ったテストでのパフォーマンスを正確に知っている。

 シルバーストンでのプライベートテストでアントネッリは、ジョージ・ラッセルとマシンをシェアし、彼のラップタイムがエンジニアリングチームを大いに感心させたという情報も浮上している。

 テストで見られた非常に印象的なパフォーマンスにより、トト・ウォルフは2025年に向けてこの若者をラッセルと組ませるという選択肢のリスクは低いと確信したようだ。

 ウォルフが今やろうとしていることは、今シーズン後半のモンツァから、つまり若いドライバーが18歳になった直後に、彼をウイリアムズに入れるようジェームズ・ボウルズ代表を説得することだ。2024年シーズン中に本戦にデビューさせることで彼の学習曲線を加速させ、メルセデスで2025年シーズンを始める準備を整えるためだろう。

 ボウルズ側の観点からすれば、提案は財政面もしくは技術面でチームに直接的な利益をもたらすものである必要があるが、彼もカートに乗っているころからF4での最初のレースまで、アントネッリの成長を見守ってきた。

 しかしボウルズは、グリッド後方ではポイント争いが激化しているため、あと数回のグランプリでローガン・サージェントをアレックス・アルボンとのチームメイトとしてシートに留めるべきか否かの確信が持てていない。

 そのため、ボウルズが2台目のマシンにより競争力のある安定したドライバーが必要だと本当に感じた場合、噂されているモンツァでのイタリアGPよりも早くサージェントを入れ替える可能性もあるかもしれない。