ヨーロッパラウンド開幕戦となったF1第7戦エミリア・ロマーニャGPで、レッドブルは大規模なアップデートを行ってきた。レッドブルがイモラに持ち込んだ新しい空力パーツは5点だ。

 1点目のフロントウイングはエンドプレート前縁の位置を変更するとともに、フラップエレメントの3枚目と4枚目のプロファイルを再設計した。2点目はノーズで、ノーズボックスのフェアリングがフロントウイングのフラップエレメントの変更に合わせて変更され、カメラの設置位置が変更された。3点目はフロアエッジで前方部分のエッジが再配置されている。フロアは前方の上面がわずかに下げられているという変更も施され、これが4点目。最後の5点目はリヤコーナーで、ブレーキ冷却の出口状態を改善するため、リヤホイールのボディワークを変更している。

 レッドブルのアップデートを自チームのエンジニアと真剣に見つめていたのが、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表だ。マクラーレンは前戦マイアミGPで大幅なアップデートを行い、優勝した。今回もアップデートを行ったが、2点だけ。5点ものアップデートを行ってきたレッドブルのマシンが気になって見に来たようだ。

 ところが初日、レッドブルは投入したアップデートを活かし切ることができなかった。

 フリー走行1回目、マックス・フェルスタッペンはチームメイトのセルジオ・ペレスに及ばず5番手に終わると、フリー走行2回目はペレスを上回ったものの、ポジションをさらに下げて7番手に終わった。

 順位だけでなく、内容も悪かったのが不安だ。というのも、フリー走行ではフェルスタッペンがアクアミネラリで何度かコースアウトしていたからだ。これだけコースアウトするフェルスタッペンを見るのは、あまり記憶がない。

「ターン11(アクアミネラリ)は最悪だ。まったくグリップがない」

 タイムが出ないだけでなく、フェルスタッペンは明らかにマシンに不満を募らせていた。

 セッションが終了してガレージに戻されたマシンから降りたフェルスタッペンは、担当エンジニアだけでなく、ヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)とも会話することなく、ガレージの奥に消えていった。

 その後、チームからフェルスタッペンのこんなコメントが載せられたリリースが届いた。

「今日は難しい1日だった。バランスを取るのが難しかったし、マシンのフィーリングもよくなかった。コーナーでマシンが不安定で、いくつかのポイントでは簡単にグリップを失ってしまった。期待したほどパフォーマンスがよくなかったし、快適ではなかった。予選で競争力を発揮するためには、いくつか改善しなければならないことがある。今日はペースが上がらなかったが、まだプラクティスセッションなので、明日に向けて何ができるか検討し、週末がどうなるかを見ていきたい」

 果たして、レッドブルは土曜日に挽回できるか。金曜日の夜は、セッションよりも忙しい時間となりそうだ。