先週末のF1第7戦エミリア・ロマーニャGPで、レッドブルF1は史上最高のリカバリーのひとつを見せた。非常に厳しかった金曜日とやや好調だったFP3を経てチームは状況を好転させ、マックス・フェルスタッペンが8戦連続となるポールポジションを獲得し、日曜日には僅差で勝利を収めた。

 金曜日の2回のフリー走行の間、フェルスタッペンはRB20のハンドリングにひどく不満を抱えていた。マシンのフロントエンドには、フェルスタッペンが最高レベルのパフォーマンスを発揮するのに大いに必要としている通常のグリップが欠けていたのだ。2時間のフリー走行で、フェルスタッペンは3回も大きなコースオフを喫したうえ、同様に二輪が少なくとも3回はグラベルに出るなど、マシンのドライビングが手に負えないものになっていた。

 夜通しファクトリーで多くの作業が行われた後、フェルスタッペンはFP3において自身のスタイルでマシンをドライブできるようになったが、まだ少々バランスを欠いていた。だが予選に向けたさらなる変更は功を奏した。RB20は限界までドライブするのは依然としてかなり難しかったものの、ポールポジションをめぐる熾烈な戦いでフェルスタッペンがマクラーレンの両ドライバーを打ち負かすのに十分な速さになった。

 チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、シミュレーター作業を大いに称賛し、金曜日の夜にチームが成し遂げた進歩は彼が期待していた以上のものだったと認めた。

「大きな前進だった。だからこそ、ファクトリーの幅広いチームと、シミュレーターのドライバーたちを決して過小評価してはならないのだ。認めるべき功績を認めよう。チームの本質は、物事がうまくいかないときにそれに対応できることにある。我々は物事を好転させることができた。もし金曜日に、この結果を出せるかどうか尋ねられていたら、すべての分析が『あり得ない』という答えを出しただろう。しかし、我々はなんとか状況を好転させ、レースに勝つことがでた」

 ホーナーは、チームの運命を見事に好転させた功労者として、シミュレータードライバーのセバスチャン・ブエミの名を特に挙げた。ブエミの最後のF1シーズンは2011年に終了したが、彼はレッドブル・ファミリーの重要な一員のままだ。彼はWEC世界耐久選手権とフォーミュラEのプログラムを、ミルトンキーンズでの長時間のシミュレーター作業と組み合わせてこなしている。

 チームの回復の主な要因について質問されたホーナーは即座に「セバスチャン・ブエミだ」と答え、次のように説明した。

「金曜日から土曜日にかけてセットアップのために多くの作業を行い、バランスを調整してはるかによい状態にした。我々はレースの60%で、他のドライバーたちに6秒から8秒の差をつけていた。パフォーマンスが発揮され始めたのは、非常に硬いタイヤを履いたスティントの後半だった」

 ブエミにとって、これは懸命な努力に対して当然受けるべき評価を受ける機会となった。レッドブル内部の多くの人々が、彼が過去13シーズンにわたって行ってきた仕事にふさわしい評価だと考えている。また、グランプリの週末にF1チームのシミュレーター作業を行うにあたっては、単なるスピードよりも、おそらくは経験と技術的知識がより重要であるということを証明した機会でもあった。