前戦エミリア・ロマーニャGPでは予選で一時トップ3となるタイムをマークした角田裕毅(RB)。エミリア・ロマーニャGPの舞台であるイモラは高速サーキット。低速のモンテカルロ市街地サーキットとマシンの相性が気になるところだが、角田に不安はない。

「低速コーナーといっても、コーナーのアングルやバンプがあるかどうかとか、コーナーにバンクがついているかにもよりますが、そこまで低速が苦手だという感じではないです。だから、期待値はイモラよりもむしろ少し高いです。ただ、イモラはそんなに期待していなかったのによかったから、その逆もあるので、走ってみないとわかりません」

 モナコではどのコーナーを一番注意しなければならないのか。

「全部です。1コーナーのブレーキングもそうだし、カジノ前やプールも気をつけないといけない。いつもより慎重に攻めていかないといけないのは確かですが、ガードレールに当たるか当たらないかぐらいがちょうどいいんです。コース幅をいっぱいに取ることが重要ではなく、いかにコーナーでスピードを乗せていられるかがポイント。そういうドライビングをしていると、勝手にガードレールにクルマが寄っていきます」

 そのモナコで角田が大切にしていることは、コースにとどまることだという。

「走行時間を有意義に利用して、徐々にペースを上げていくこと。ペースが上がらなくても、コース上にとどまって走り続けることがどのグランプリよりも重要になります」

 そのF1第8戦モナコGPの初日、角田は一度もガードレールの餌食になることなく、フリー走行1回目は8番手、2回目は11番手で終えた。その11番手もじつはソフトタイヤではなく、ミディアムタイヤを履いて出したタイムだった。

「雨が降る予報だったので、ソフトはFP1で使用し、午後はミディアムとハードを使用する予定でした。結局、雨は降らなかったんですが、ミディアムも悪くないタイヤなので、FP2は問題なく走ることができました。ミディアムとソフトのコンパウンドの差を考えると、今日のタイムは決して悪くないのかなと思います」

 角田と同様、フリー走行2回目にソフトタイヤを履かなかったのは、チームメイトのダニエル・リカルドとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、そしてキック・ザウバーの2台だ。

 抜きどころがないモナコでは、予選がいつも以上に重要になる。今年はどのグランプリでもQ3に進出することを目標に掲げている角田だが、モナコGPではQ3進出は目標ではなく、ポイントを獲得するために必要最低条件となる。それは角田自信が誰よりもわかっている。