2024年F1第11戦オーストリアGPの予選後、角田裕毅(RB)がスチュワード(審議委員会)に召喚された。

 予選Q1でピットアウトした際、目の前に周冠宇(キック・ザウバー)が割り込んできたことに対して、無線で「不適切な言葉」を口にしたからだ。角田から事情を聞いた後、スチュワードは角田に対して、一部執行猶予付きながらも罰金4万ユーロ(約690万円)を科す裁定を下した。

 その後、角田は自身のソーシャルメディアで次のように反省の弁を綴った。

「今日の無線で僕が言ったことをお詫びします。明らかに意図的に使ったわけではなく、自分でもその正確な意味を完全に誤解していました。いまはこの言葉の意味をよりよく理解しています。このような言葉は場違いであり、決して許されるものではありません。自分の発言について反省しています」

 こうして迎えた日曜決勝日、サーキット入りした角田はファンとの交流を楽しみながらパドックへ。数時間後に始まる決勝レースに向けて集中力を高めていった。この日のレッドブルリンクは、前日までと同様、青空が広がり、真夏のようなコンディション。厳しいレースになることが予想された。

 スタートでポジションを奪われたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を2周目の1コーナーで抜いた角田。チームメイトのダニエル・リカルドに続く、13番手というポイントが狙える位置でレースを進めていった。

「最初のスティントは悪くなかったんですけど、1回目のピットストップを終えた後の第2スティントが、ちょっと……」

 RBは2台で戦略を分け、早めにピットインしたリカルドに対して、角田はアルピーヌ勢を追って、スタート時に履いたミディアムタイヤのまま、トップ10内を走行していた。

 21周目にピットインした角田は、ここでハードタイヤに交換してピットを出ていったのだが、このハードタイヤでのペースが期待していたものではなかった。

 2回目のピットストップのタイミングが遅かった?

「(2回目のピットストップは)もう少し、早くても良かったと思います」

 角田は、そう振り返った。

 44周目にピットインした角田がコースに復帰すると、ポジションは1周目よりも悪い16番手へと後退してしまった。挽回を図りたかった角田は、第3スティントでもペースが上がらず、15位でフィニッシュした。

 角田はポイントを獲得できなかったものの、チームメイトのリカルドが9位でフィニッシュ。チーム一丸となってスペインGPの不調から脱しようとしていたチームの入賞を喜んでいた。

「今日のレースでダニエル(・リカルド)がいい仕事をしてくれたことは確かで、チームとして最終的にいいかたちで締めくくることができました。今後のレースに向けて、チームとして取るべき方向性がより理解できたことは良かったです」

 その一方で、コースの内外でミスを犯した自分に対してはこう戒めた。

「今週末はいろいろと学ぶことが多く、自分の最大限のパフォーマンスを出すことができなかった部分もあったので、そのことは今後に向けて修正していきたいと思います」

 5日後、イギリスGPの舞台シルバーストン・サーキットで強くなった角田と再会できることを期待したい。