今年は全日本モトクロスやG-NETなどとスケジュールが被ることでライバルである渡辺学、鈴木健二がともにフル参戦できないJNCCは、大きなトラブルさえなければ馬場大貴のチャンピオンは揺るぎないものと見られていた。しかし蓋を開けてみれば第1戦、得意な阪下で渡辺に打ち勝ち、さらに第2戦、広島で鈴木に勝ち、そしてそして、第3戦、鈴蘭でも鈴木を下して開幕3連勝を成し遂げた。フル参戦かどうかなど関係ない。そんな事情がなくても「実力で獲る」と言わんばかりに馬場の勢いは止まらない!

悪天で難易度が爆上がり
ヌタヌタ&ガレガレ、本気の鈴蘭が牙を剥く

鈴蘭高原スキー場はすでにスキー場としては廃棄されており、年に一度、このJNCC大会の時だけ、この飛騨高山の山奥に大勢の人が集まる。そのためコースは荒れ放題。今やJNCCコースの中でも随一と言われる難易度になっている。そして今回は土曜日の夜から降り始めた雨の影響でさらにコースはぐちゃぐちゃに…。

COMP-AAクラスのスタートで先頭を引いたのは、神馬匠、続いて馬場、その後ろには小林雅裕や齋藤祐太朗の姿が見える。鈴木健二は、後方のゼッケン3だ。

レースは、最初から馬場が支配していた。1周目こそ鈴木が秒差で後ろにつけていたが、鈴木が視界不良を訴え、ゴーグルのレンズを変えている間に順位を落とすと、馬場の独壇場となっていった。

BABANA SHOXのスペシャルサスとマディ対策が
功を奏した

「今日はとにかくコースが難しかったですね。下見の時点で、雨が降らなくてもかなり厳しいレースになることがわかったので、一番いいラインは潰れる前提で、何本もラインを探して入念にコースをチェックしておきました。

最近はCGCとかハードエンデューロにも出場していて、ハードの練習をするようにしているので、それの経験があったから今日は勝つことができたと思っています。雨のCGC大町に比べればコースの難易度は低かったですね。

サスペンションをだいぶいじってまして、エンデューロではみんな柔らかめにすることが多いと思うんですが、柔らかいと石に当たった時に(サスが)入りすぎちゃって失速しちゃうんですよ、僕はそれが嫌で硬めにしているんです。もともとモトクロスライダーというのもあって、硬めが好きなんですよね。バネはもうモトクロスと同じくらいの硬さのものを入れて、下りでもちゃんとブレーキを使える仕様になっています。硬いけど石で弾かれず、ちゃんと前に進んでくれる、BABANA SHOXのスペシャルサスです。

今回はマディが確定だったので、ヘルメットのバイザーをBELLのマッドバイザーで延長してゴーグルに泥がつきにくくして、さらにゴーグルを4つ用意してピットで交換してもらいながら走りました。あとは健二さんのMTBシートが欲しかったです。今日は絶対アレでした。前に座れていないと、リアが振られた時にコントロールできなくて…。

今シーズンはもちろん年間チャンピオンを狙っています。いよいよってなってきたら、引くところは引いたり駆け引きが出てくるかもしれませんが、今はとにかく一戦一戦着実に勝つことを考えて走っています」

対抗馬として馬場を追ったのは小林雅裕。阪下で4位、広島で3位からの鈴蘭で2位に入ってきた。2ストロークマシンが有利なこのコンディションで、KXを駆って上位に入るのは、さすがの一言。

ガレガレとヌタヌタの登り「ハーフパイプ」では左右に2本のラインがあったが、どちらを選んでもスタックは免れなかった。しかし上位のライダーは勢いを殺さず、自由なライン選びでスムーズに駆け抜けていった。

一度順位を落としてしまった鈴木も、後半に巻き返して3位に入賞。後半では周回遅れのライダーと接触があり、顔面から流血したまま走るシーンも……!

コンディションは、かなり極悪だった。いたるところでこのような渋滞が発生し、マシントラブルに見舞われるライダーも多かった。

エルズベルグ仕様のYZ250X

鈴木健二のマシンは先日の日野ハードエンデューロで披露されたエルズベルグロデオ仕様のYZ250X。セルフスターターが装着されている。

シートはもはやお馴染みになったMTBタイヤを貼り付けたシートを装着。今回の鈴蘭ほど、このシートが役に立ったレースはなかったかもしれない。ヌルヌルで滑りやすいシートで、登りでトラクションを掛けるには必須と言える。

今回初登場のレースクイーン、麻緒さん。雨で寒くて大変な初レースとなったが、笑顔で選手たちを応援してくれた。

JNCCの常連チーム・オシャレイカチの大月栄二がミニモトで参戦。この極悪コンディションで4周してCOMP-Aクラス27位の成績はさすが。

COMP-GP総合6位に入ったのは勝山聖。クラスはCOMP-Aだが、JNCCは初参戦。モトクロスIAライセンスを持つハードエンデューロライダーで、特別難易度の高かった今回の鈴蘭だけでなく次戦以降もスポット参戦を期待したい。

COMP-Rで4位表彰台を獲得したのはレディースライダー・木下夏芽。「ハードエンデューロをやっていたらここまで来れました!」とコメントした通り、CGCを中心にハード系で大注目のライダーで、今年は海外レースへの参戦も表明している。親子で参戦しており、常に「お父さんに勝つ」を目標にレースを楽しんでいる。

初出場の阪下、広島に続いて総合上位
注目ライダー、高橋吟

今回、ピックアップしたいライダーがこの人。COMP-Bクラス374番の高橋吟だ。開幕阪下ででJNCC初出場にしてCOMP-R優勝、広島でもクラス優勝し、総合でも17位に入って驚かせた27歳。

ジュニアまでモトクロスをやっていたという高橋は、さすがのスタートダッシュを見せる。昇格してCOMP-Bクラスでも、完璧なホールショットを獲得。

クラスの中では圧倒的な走りで8周。2番手のG-NET黒ゼッケンライダー、佐々木文豊に2周差をつけてクラス優勝はもちろん、総合でも12位に食い込んできた。

「僕は中学1年生までモトクロスの東北選手権で走っていたんですが、家庭の事情もあって一度辞めてしまったんです。FUNAI RACINGのYOUTUBE動画を見て「面白そうだな」って思って最近復帰しました。一昨年の6月にKTMの300EXC TPIを買って、最初は林道ツーリングから始めて、去年はハードエンデューロをやって、今年からJNCCに出始めました。

マディのレースは初めてだったので、対策が何もできていなくて、特にグローブがすぐにツルツルになってしまって、全然思うようにアクセルが開けられなくて……途中で観客の方に軍手をお借りしてそこからペースを上げていくことができました。

もちろんレースに出るからには勝ちにいきたいですし、いつかAAライダーで活躍するのが目標です」

高橋はモトクロス出身ということでアグレッシブなフォームでスピードを生かして走る。さらに最近はトライアルライダーと一緒に練習することが多いらしく、そういったテクニックも身につけており、総合力はかなり高いと見ている。本人は「いつかはAAライダー」と言っているが、実力的にはいつ昇格してもおかしくないレベルだ。

大荒れのFUN-GPは波乱の展開に

FUN-GPは大どんでん返し。レース終盤までトップ争いをしていた瀧村剛、泰自の親子対決は、終盤にドロドロヌタヌタになった右ゲレンデの登りで2人ともスタック。久しぶりにJNCCに参加した宮原淳二がFUN-Aクラスを制した。

また、総合優勝はCOMP-Bクラスの大重勇透が獲得。

ウーマンクラスではFUN-WAの近藤香織が一人7周を走った。WAAの菅原悠花も圧倒し、こちらもハードエンデューロ経験が活きた形となった。

着実に実力のある若手が育っているFUN-GP

Off1的に注目したいのがこの面々。左から久保櫂人(15)、渡辺敬太(12)、水野零埜(13)。3人とも5年くらい前からチェックしていたライダーなのだが、いよいよ頭角を現してきた。

久保は2016年の爺ヶ岳でデビューしたライダーで、偶然にもその爺ヶ岳で初JNCC取材だった僕は一緒に下見をさせていただいたので、よく覚えている。今年は阪下でFUN-C優勝、広島で2位。ここ鈴蘭でもずっとクラストップを走っていたが、最終周でクラッシュしてしまい2位に甘んじた。

そしてAAライダー渡辺裕之を親にもつサラブレッド、渡辺敬太。小柄ながらアグレッシブな走りで85を自在に操り、様々な路面に柔軟に対応できる奥の深さが垣間見えた。2周目にはクラス1位も走るが、最終4位でチェッカー。

最後の水野はモトクロスランド多度で出会った。当時はまだ受け答えもおぼつかない子供だったが、今や立派なコメントをくれるライダーに成長していた。主戦場はあくまでモトクロスだが、荒れた路面に対応するスキルを身につけるためJNCCに参戦している。今回はFUN-Cクラス9位で見事、表彰台に登壇した。

JNCCの若手を牽引する保坂修一、青木琥珀、そしてFUN-Bで活躍する瀧村泰自、廣田優大らに続く、有望な若手がドンドンと育っている。

快晴のFCX
JNCCが力を入れる若手育成の土壌

こちらはメインレース前日土曜日の鈴蘭。見ての通りの快晴。このベストコンディションでFCXが開催された。

ヨツバモトクラスは8台が出走。

今回は初めてウッズセクションが作られた。ここを柔軟にこなせるスキルを今のうちから身につけておけば、将来JNCCで活躍できるだろう。

ぶっちぎりの優勝は水谷倫都。50ccにもダブルエントリーする三重県出身の6歳。

そして50ccレースはCHとPWの2クラス。合計10台がエントリー。

総合優勝はAAライダー・松尾英之ジュニアの松尾颯太。松尾家とはよく一緒に練習させてもらっているのだが、大人と同じコースで延々と走り続けていて、最近はジャンプ練習にも取り組んでいる。

JNCCにはFCXとFUNをつなぐキッズ&トライクラスもあるのだが、FUN-GPの表彰式を撮影していたら終わってしまっていたので今回は割愛させていただく……申し訳ない。JNCC次戦は6月20日、岐阜県ダイナランドで開催される! エントリー開始は、今日(5/18)だ!!

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