9月11〜12日、富山県南砺市のスキー場、IOX-AROSA(イオックスアローザ)でオフロード バイクの走行会が開催された。そしてこのIOX-AROSAは2022年5月頃から、本格的にオフロードバイクのフリー走行が可能になる。これはエンデューロライダー、GAMMyこと大神智樹がライフワークとして押し進める若手育成プロジェクト「GAMMy with Young guns」の大きな成果と言える。なぜなら、このプロジェクトの裏には、1人のキッズライダーの夢が隠されていたからだ。

目指すはエンデューロ世界チャンピオン
保坂修一、青木琥珀らに続く世代を育てる

ハスクバーナのTC50に乗る彼の名前は菊地慶祝郎(けいしゅうろう)くん。富山県南砺市に住む小学1年生だ。慶祝郎くんは1年ほど前にバイクに乗り始め、石川県のブラックボアに走りに訪れた際に、たまたまスクールをやっていた大神智樹と運命の出会いを果たした。

「最初はちょっと面倒みてもらおうかなぁ、と思って大神選手に声をかけてみたところ、出身が同じ仙台ということで意気投合し、慶祝郎もすごくなついたもので、今では月に2〜3回くらい、多い時は週に2回くらいのペースでコーチをしてもらっています。

ところが富山県周辺で初心者の慶祝郎が思いっきり走れるコースがなかなかなくて。どこかいいところはないかと探していた時に、南砺市の市長さんや県議会議員さんにも協力してもらって、ここイオックスアローザと繋いでもらったんです。

もちろん慶祝郎のためもあるのですが、僕は富山県の子供達にもっとエンデューロバイクを知ってもらいたいと思っていて、そこが大神選手の目指す未来と合致したんです。来年はフリー走行だけでなく、ヨツバモトとかメーカーのイベントなんかも開催したいと考えています。ここを北陸のエンデューロ再発進の地にしたいんです。

慶祝郎はエンデューロの世界チャンピオンになりたいと言っていて、今はとにかく毎日ここで乗っていますよ」

と父親の福太郎さんは語る。慶祝郎くんは50ccのマシンをとにかくカチ開け。レブまで回して思い切りゲレンデを駆け上がっていく。大人がフルサイズのレーサーに乗っても難しいコースを、縦横無尽に走り回っている。

イオックスアローザの走行可能時期は5月から11月くらいまでを考えており、富山県、石川県、福井県からのアクセスが特に良好だ。

走行会に集まったキッズライダーたちと福太郎さん、そして大神。この笑顔を守り、そしてもっと広げていくのが、大神が目指す未来だ。

エンデューロの後進を育てるため己の人生を賭け、全国を転々とトレーラーハウス暮らしをしていた大神は、BETAに乗ったことをきっかけに富山県南砺市を中心に活動していたが、この地域や環境に惚れ、さらに人との出会いに恵まれたこともあり、ついに富山に移住を決めたという。

イオックスアローザからは、南砺市が一望できる。この素晴らしい景色は、見慣れることはない。

走行会では大神智樹によるスクールも行われた。

ゲレンデ下に作られたキッズ用の8の字セクションは、無数の細かい轍が生まれ、キャンバー気味なことも合わさって激ムズに。

ゲレンデは大きく上下に分かれていて、こちらが下段。ほぼすべてがキャンバーで、速く走ろうとするとめちゃくちゃ難しい。それでも登りではしっかり全開の気持ちよさが味わえる。ただ1人、イベント前日に入り走っていたという齋藤祐太朗は、知らずに一日中逆回りで走って「めちゃくちゃ難しいし、まったく開けるところがない苦しいだけのコース」と大神にボヤいたとか……。

こちらがゲレンデの上半分。JNCCやJEC日高のようなグラストラックの練習が、思う存分に堪能できる、貴重なフィールドだ。ヨーロッパのGPを経験している大神だからこそ作れるコースレイアウトだろう。

富山県南砺市はBETA JAPANのお膝元。日曜日にはメディア試乗会を終えたばかりの2022モデルの試乗会が開催された。

下のゲレンデを駆け上がったここが、撮影ポイント。

走行会に集まったのは、初級レベルから上級レベルまで様々。それぞれのペースで初めてのコースを楽しんでいた。

JNCCのFUN-Aクラスを走る橋本努さんのジュニア、大喜くんも全開。めちゃくちゃ速かった。

土曜日の走行会に刺激され、慶祝郎くんのお姉さんも初バイクにトライ。大神がマンツーマンで教えると、すぐに走れるようになって笑顔を見せていた。イベントの受付など、慶祝郎くんのご家族が大神を支え、尽力してくれた。