◆ 達成すれば29年ぶり!

 広島の鈴木誠也がセ・リーグでは29年ぶりの珍しい記録に迫っている。

 17日の阪神戦で2本のアーチを描き、今季の本塁打数を「38」の伸ばした鈴木。現在39本を放ちトップで並ぶ岡本和真(巨人)と村上宗隆(ヤクルト)に1本差と肉薄し、自身初の本塁打王も視界に入っている。

 9月以降は、39試合で19本塁打。ほぼ2試合に1本という快ペースを維持しており、残り6試合でライバル2人に並ぶか、あっさり抜き去ってしまう可能性も十分あるだろう。そんな鈴木のすごいところは、一発に加えて打率もしっかり残しているところだ。

 19日終了時点で、アベレージは「.322」。リーグ2位の近本光司(阪神)に7厘差をつけ、堂々トップに立っている。首位打者、本塁打王とくると、気になるのが打点王争いだろう。今季の87打点は現在リーグ4位だが、トップを走る岡本が112打点なので、残り6試合でこれをひっくり返すのはほぼ不可能だ。

 冒頭で述べた鈴木が迫っているセ・リーグ29年ぶりの記録――。それは同一年度に首位打者と本塁打王に輝く“変則”2冠王である。


◆ ONに続けるか?!

 セ・パの2リーグ制となった1950年以降、セ・リーグで打率、本塁打、打点の各部門でトップ、つまり3冠王に輝いた選手は2人。73、74年に王貞治(巨人)、85、86年にバース(阪神)が2回ずつ達成している。

 一方、3冠を3人(同率、同数の場合はそれ以上)で分け合ったシーズンは25回。ほぼ3年に1回は別々の打者が3つのタイトルを分け合っている。そして意外にも、最も多いのが打撃3部門のうち2部門を同じ選手が獲得するいわゆる2冠王で、その数は42回にも上る。

 2冠王の内訳を見てみると、最も多い組み合わせは本塁打王と打点王で32回。本塁打は必ず打点も生み出すため、当然といえば当然だろう。

 一方、少ないのが首位打者と打点王、そして首位打者と本塁打王という組み合わせ。これは過去70年で5回ずつとなっている。

 セ・リーグで首位打者と本塁打王の2冠に輝いた打者は3人。1961年の長嶋茂雄(巨人)、1968〜70年の王貞治、そして1992年のハウエル(ヤクルト)がこれを成し遂げている。

 1971年から2020年の過去50年間では、92年のハウエルしか達成者がおらず、非常に珍しい記録ということが分かるだろう。

 広島は3年ぶりAクラスの可能性を残しており、鈴木にとっても1試合1試合が真剣勝負。クライマックスシリーズ進出とともに、セ・リーグ史上4人目、6度目となる“激レア”2冠王を獲得することはできるのか、注目だ。


文=八木遊(やぎ・ゆう)