ロッテ・角中勝也

 ロッテ一筋18年目の角中勝也の勝負強さは今年も健在だ。

 ここまで代打起用も多いが、左翼での先発出場時には三番や五番などクリーンアップをまかされる。4月16日の西武戦(ZOZOマリン)では「五番・左翼」で先発出場。3回一死一、三塁の場面で平良の直球をはじき返すと、センター前にポトリと落ちる先制適時打に。

「日ごろの行いがいいおかげで、打ち取られた当たりがヒットになってくれました」

 殊勲の一塁ベース上では、右手を上げてファンの声援に応えた。今季初先発した17年目のベテラン・唐川に先制点をプレゼントし、唐川の6回1安打無失点の快投を演出した。

 チームでは荻野が38歳の最年長だが、在籍年では2006年秋のドラフトで入団した角中が18年目で最長となる。ロッテ一筋を貫いてきた頼もしい“いぶし銀”は、86試合に出場した昨年は代打で打率.404の成績を残し、代打逆転弾を含む自己最多9本塁打。2度の首位打者に輝いた巧みなバットコントロールは衰えることを知らない。

 石川・七尾市生まれで、年始の能登半島地震では故郷も被災した。

「両親を含め、知人、友人が多く被災している中で軽々しく発言できない」

 3月のセンバツでは、出場した母校・日本航空石川高の部員に黒色のパーカーを贈呈。当日は現地にも駆け付け、一塁側のアルプス席で「素直に、自分らのときは(甲子園に)出られなかったので『おめでとう』という感じです」と目を細めた。後輩から刺激をもらった職人気質の36歳は、今季も安打を量産する。

写真=兼村竜介