開幕から無傷の3連勝を飾るなど、ルーキーイヤーを順調にスタートした武内

 昨年のドラフトで3球団から1位指名を受けた武内夏暉。大卒ルーキーが、ここまで順調に日々を重ね、その評価の正しさを証明している。

 なんといってもデビュー戦(4月3日オリックス戦=ベルーナ)は圧巻だった。「周りのことをまったく気にせずに集中できていて、いつの間にか終わっていた感じでした」と、いわゆる“ゾーン”状態に入り、7回を85球1安打、7奪三振、2四球、無失点とオリックス打線を封じ、プロ初勝利を飾ってみせた。

 その後2試合目を投げたあとに一度登録抹消となり、一周ローテーションを飛ばしたが、それはあくまで疲労を考慮されてのもの。練習は常に一軍メンバーに帯同しており、主戦力として役割を果たし続けている。

 自身も「ケガもなく、順調にやれていると思います」と口にする中、最も手応えを感じているのは「変化球の質の向上」だという。カーブ、スライダーなどの曲がり球の感覚が日増しに良くなっている上、入団直後に「大学2年、3年のときは良かったのですが、その後、だんだん球速が上がって、空振りを取るのが難しくなってしまって。なので、プロでもう一段階、追求してみたいと思っています」と話していたチェンジアップも、開幕前には感触をつかみ、ここまで被打率.045(5月14日現在)と、抜群の効果を発揮している。

「真っすぐの軌道から投げられて空振りも取れるようになりましたし、使えるボールになってきました」

 新人ながら“自分”をしっかり持つ22歳左腕。この先もブレることなく己を信じ、オンリーワンの存在を目指していく。

写真=BBM