高い内野の守備力で何度もチームを救ってきた矢野

 そこに打球が飛べば、ファンは声援を注ぐ。どんなプレーが飛び出るのかを期待して。矢野雅哉の守備は、それほど観客の心を躍らせる。「打球が飛んでくれば、とにかくアウトにすることだけ。試合中はそれしか考えていない」と目の前のワンプレーを全力に、類いまれな守備力で勝利を支えてきた。

 5月31日の敵地・ソフトバンク戦に二番・遊撃で直近20戦連続となる今季35度目のスタメンに名を連ねた。自己最多93試合に出場した昨季のスタメン34戦を、今季47戦目にして上回った。例を挙げればきりがないほどの好守に加え、粘り強い打撃も打線に欠かせない。新井貴浩監督が「彼の守備はスペシャル。彼の頑張りがあって今、ショートで出ている」と、昨季までは遠くにあったレギュラーを勝ち取った。

 チームは今季、すでに11度の無得点試合を数える。それでも首位を争うのは、投手陣を含めたディフェンス力が大きい。それが分かっているからこそ、矢野にとって6月1日のソフトバンク戦(みずほPayPay)のプレーが忘れられないものとなった。この試合、3回の先頭・佐藤直樹の打球を一塁に悪送球。結果的に決勝点につながる失策となった。「あの一つのプレーで流れも悪くなった。あのプレーで負けた」。

 悔しさは成長の糧となる。「たくさん試合に出られるということは、たくさん学べることがある。毎日が勉強です」。昨季は限られた出場機会の中でゴールデン・グラブ賞の遊撃手部門4位(9票)オフに自主トレをともにし、二遊間を組む“師匠”の名手・菊池涼介とのダブル受賞は決して夢ではない。

写真=BBM