【山形県】粘り強さで旨味を醸す“チーム山伏”/都道府県別ドリームチーム

【山形県】粘り強さで旨味を醸す“チーム山伏”/都道府県別ドリームチーム

いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……?

低迷期の広島の四番



広島・栗原健太

 奥羽山脈と日本海に挟まれ、冬は厳しく雪も積もるが、気候は複雑で、現地の天気予報を見ると、いくつもの地点で予報が出され、同じ県とは思えないほどの違いがあることに驚かされる。近年はハイペースで更新されているが、74年もの長きにわたって最高気温の観測史上トップに君臨していたのが山形県だ。

 そんな暑い夏には名物の冷やしラーメンもいいが、山海の幸に恵まれた土地柄で、高校野球で節目の100回大会への出場を決めた羽黒高のある庄内地方は、山伏たちの聖地でもある出羽三山と日本海に抱かれる“食の都”。冬は滋味深き寒鱈汁で体を温め、県魚のサクラマスと北限ともされる筍で春を味わい、夏にはだだちゃ豆でビールを浴びたいもの。ブランド牛の米沢牛も育つ置賜地方にある米沢西高(現在の米沢興譲館高)から出たのが「一球入魂」を座右の銘に通算200勝にも到達したサブマリンの皆川睦男(睦雄)だ。

【山形ドリームチーム】
一(遊)土佐内吉治(国鉄)

二(投)皆川睦男(南海)

三(中)長谷川勇也(ソフトバンク)★

四(一)栗原健太(広島)

五(左)渋谷通(広島ほか)

六(二)会田豊彦(中日)

七(右)小山田健一(東映ほか)

八(捕)下妻貴寛(楽天)★

九(三)石垣雅海(中日)★
(★は現役)

 エースの皆川と右腕の三本柱を形成するのが、56年に15勝の田沢芳夫(南海)と63年に11勝の高橋栄一郎(南海ほか)で、まだ一軍出場はないが、2017年のドラフト1位で指名された吉住晴斗(ソフトバンク)も加われば、新旧ホークスの先発陣が完成する。

 リリーバーには貴重な左腕の佐藤賢(ヤクルト)もいるが、加藤武治(横浜ほか)と梅津智弘(広島ほか)、現役の石川直也(日本ハム)ら右腕の三本柱だ。

 皆川は通算94犠打でもトップで、つなぎ役の二番打者も担う。通算12本塁打も五指に入り、外野や一塁も経験があることから、マウンドを降りても打線には残りたい。同様に外野の経験もあって打撃もいい田沢は代打としての登場もありそうだ。

 期待を込めて、侍ジャパンU-23のメンバーにも名を連ねた下妻貴寛が司令塔で八番、一軍の全3打席すべて三振ながらフルスイングを貫いた石垣雅海が三塁で九番。七番で右翼に回った小山田健一はブルペン捕手の経験も豊富で、下妻のフォローにも期待したい。

 打順は一番に戻り、創設されたばかりの国鉄を支えた野球巧者の土佐内吉治。皆川を挟んで三番は現役で13年の首位打者でもある長谷川勇也で、低迷期の広島で四番打者を務めた栗原健太が、ここでも四番だ。五番は一本足打法の渋谷通で、通算122安打ながら14本塁打を放った長打力が魅力。東都大学リーグで首位打者になったこともあるのが六番の会田豊彦だ。

復活の兆しを見せる不屈の現役ヒットメーカー



ソフトバンク・長谷川勇也

 かろうじて投手を野手として起用することは免れたものの、守備は栗原がゴールデン・グラブの一塁に、長谷川が首位打者の13年に多かった中堅にいるだけで、ほとんどの野手が経験の少ない守備位置にいて、攻守とも苦戦が予想される。皆川ら投手陣が粘り強く長谷川や栗原が得点を稼ぐのを待つ展開が多くなりそうだ。

 ただ、打線には結果を出す前に現役を退いた選手も多く、皆川もプロ14年目の1967年に初タイトルの最優秀防御率、翌68年に31勝を挙げて“最後の30勝投手”と言われた。一方で、故障に苦しんだ長谷川も18年の夏場に入って復活の兆しを見せている。

 県産ブランド米のつや姫は厳しい夏の暑さに耐えて粘り強さで旨味を醸すが、山伏のような動じない心で粘り強く、打線が花を咲かせるのを待ちたい。

写真=BBM


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