「ボールが動く」とは一体どういうこと?/元阪神・ 藪恵壹に聞く

「ボールが動く」とは一体どういうこと?/元阪神・ 藪恵壹に聞く

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は投手編。回答者はメジャー・リーグも経験した、元阪神ほかの藪恵壹氏だ。

Q.国際大会に出場すると、侍ジャパンの選手は外国人選手の「ボールが動く」といいます。これはカットボールやツーシームなど、ファストボール系の変化球を多投しているということですか? それとも、そもそも日本でいうところのストレート(もはやストレートではない?)が変化しているということでしょうか(三重県・38歳)



A.さまざまな場面を想定していろいろな投げ方を身につけたい



ジャイアンツ時代の藪恵壹氏

 最近の若い選手であればMLBが身近になり、“動くボール”というものを理解しやすいでしょうが、「回転のきれいなストレート」が一番で、それが求められてきた日本の昔からの教えを受けてきた方にとっては、イメージしにくいかもしれませんね。

 海外の選手にとっては、ファストボール(速球)は、純粋なストレート(日本で言う「直球」「真っすぐ」で、海外では「フォーシーム」)に限るわけではなく、ツーシームが得意な選手は、いわゆる日本ではストレートが投じられるカウントやタイミングでも、徹底的にツーシームです。カット系のボールが得意な選手であれば、そのボールでしょう。

 日本ではツーシームもカットボール(カッター)も変化球として認識されますが、海外の選手にとってはファストボールに変わりなく、変化球を投げている意識もありません(打ちにくいファストボールを投げようとは考えていると思います)。このように、認識を改めない限り、国際大会に出ていくたびに「ボールが動く」と言って、苦しむことになるのではないでしょうか。

 私はMLBでプレーした経験がありますが、彼らはキャッチボールからボールを動かしてきます。しかも、ボールの特性を生かして、しっかりと強く腕を振り、手元でギュっと動かすのがうまい。シンカーピッチャー(シンキング・ファストボールを投げる)などは、視界から消えるので、キャッチボールをしながら恐怖を感じていました。キャッチボールですら捕球が難しいのですから、バッターにとってはどれほど厄介か、分かりますよね。そういえば、アメリカから帰国後、楽天に入団してすぐのキャンプで、キャッチボールのパートナーだった山村宏樹が、私のボールを避けながら捕っていたのを思い出します。

 ちなみに、バーランダー(アストロズ)のように、フォーシームを持っている選手もいます。彼はこのボールをスピンをかけて高めで空振りを取るために使っていて、軸にするのではなく、数ある球種の1つという感覚でしょう。また、ジト(元アスレチックス)などタテ割れの大きなカーブを持っている選手では、フォーシームで目線を上げておいて、同じ高さから落ちるカーブで空振りを誘うという使い方をしていました。いずれにしても、日本とは“文化”の違いがあるということです。

●藪恵壹(やぶ・けいいち)
1968年9月28日生まれ。三重県出身。和歌山・新宮高から東京経済大、朝日生命を経て94年ドラフト1位で阪神入団。05年にアスレチックス、08年にジャイアンツでプレー。10年途中に楽天に入団し、同年限りで現役引退。NPB通算成績は279試合、84勝、106敗、0S、2H、1035奪三振、防御率3.58。

写真=Getty Images


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