2020年のドラフトの超目玉である早大・早川隆久は開幕カードの明大1回戦で2安打1失点完投勝利を飾った

 異次元のレベルだった。

 早大・早川隆久(4年・木更津総合高)は東京六大学の開幕カードとなった明大1回戦(9月19日)で圧巻の投球を見せた。

 7対0で迎えた9回表二死からこの試合、初めての四球を与えると、次打者に二塁打を浴びて1失点を喫するも、後続を空振り三振。毎回の17奪三振で、自身2度目の完投勝利を飾っている(7対1)。

 序盤から150キロ超を連発。自己最速に3キロ及ばない152キロながらも、アベレージで140キロ台後半をたたき出し、緩急自在のカーブに、スライダー、カットボール、チェンジアップと、どの球種も精度が高かった。明大の打者は的を絞れなかった。また、真っすぐも分かっていても、空振りをしているようにも見受けられた。

 快投にも、早大・小宮山悟監督は冷静に語る。

「本人を前にして言うのもどうかと思いますが、想定内。あれだけのボールを投げる。自信を持って送り込んでいる。勝てるだろう、と。しっかりと投げてくれた」

 なぜ、早川は好投を見せたのか? 対戦相手が高校時代からのライバルであったからだ。

 明大先発は入江大生(4年・作新学院高)。早川からすれば、2016年夏の甲子園準々決勝で敗退した因縁の相手だった。入江は当時、三番・一塁手兼控え投手の立場で、エースは今井達也(現西武)だった。入江は初回、早川から先制ソロとなる3試合連続本塁打を放ち、3対1の勝利に貢献した。2人は甲子園大会後、高校日本代表でチームメートとなった仲。入江は大学で投手専任となり、最速153キロ右腕に成長。2人の投げ合いによる開幕カードは「ドラフト候補対決」として注目された。

「整列したときに、(入江の)目つきが違った。受け身になるとダメなので、強気にいった」

 早川はチームをけん引する主将として2015年秋以来のリーグ優勝へ燃えている。「調子自体はそこまで……。いつもどおりの投球を意識した」と、マウンド上で平常心を保った。

 17日のWEBによる記者会見では「自分はどうなってもいい。投げる試合はすべて勝つ」と、入学以来、経験のない優勝まで腕を振る覚悟を決めた左腕。精神面が充実している。

 8月開催の春季リーグ戦で自己最速を4キロ更新する155キロを計測。一気にドラフトの超目玉となった、早川の投球から見逃せない。



文=岡本朋祐 写真=菅原淳