逆転で本塁打王獲得も



ホームランを量産している広島・鈴木

 逆転でのCS進出に向け、巨人を猛追している広島。驚異的なペースで本塁打を量産しているのが鈴木誠也だ。今季は8月まで87試合に出場して19本塁打。決して悪くない数字だが、タイミングの取り方に試行錯誤しているように見えた。

 ところが、9月に入ると3日のヤクルト戦(東京ドーム)から6試合連続本塁打。日本タイ記録まであと一歩届かなかったが、この6試合で8本塁打を記録した。9月の月間成績は25試合出場で打率.381、13本塁打、22打点。今月に入っても14試合出場で打率.349、6本塁打、13打点と好調を持続している。自己最多の38本塁打でリーグトップの巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆に1本差に迫り、逆転で自身初の本塁打王獲得が見えてきた。

 野球評論家の立浪和義氏は週刊ベースボールのコラムで鈴木について、こう分析している。

「今季は開幕から大きく足を上げるフォームに変えました。本人と話したわけではありませんが、より上のレベルを目指し、体の近くまで呼び込んで強い打球を打ちたいという意識からだと思います。ただ、結果的にはタイミングがうまく取れず、呼び込む間がつくれぬまま打ち損じが目立つ結果となりました。そのあと以前のフォームに戻しましたが、前半戦は不振が続き、タイミングがバラバラになっているように見えました。責任感の強い選手なので、チームの不振の責任を一身に背負ってしまったのかもしれません」

「彼の最大の長所は芯に当たればすべてスタンドまで持っていけそうな強烈なスイングスピードです。ただ、もともとバットのトップが投手側に入るフォームなので、どうしてもバットが下から出るため、うまく間がつくれないと差し込まれることもありました。また、以前から調子が悪いと軸足に乗る時間が短くなり、ステップが広がる傾向がありましたが、今季もそれを感じました。しかし東京オリンピック後の後半戦、特に9月に入ってからですが、ステップが狭くなり、スイングが体から離れず、インサイドからしっかりボールをとらえられるようになっています」

 東京五輪では侍ジャパンの四番として金メダル獲得に大きく貢献。鈴木の強みはコンタクト率の高さと長打力を兼ね備えていることだ。2019年に打率.335で首位打者を獲得するなど、16年からプロ野球史上4人目の「5年連続打率3割、25本塁打」を達成。今季もリーグトップの打率.322、38本塁打をマークしている。王貞治、落合博満に次ぐ史上3人目の「6年連続打率3割、25本塁打」をクリアするのは間違いないだろう。

大きくなったスイング


 メジャー関係者は「今、鈴木の市場価値が上がっている」と評価する。

「メジャーは長打を打てる選手の需要が高い。鈴木は毎年ハイアベレージを残しているが昨年まで30本塁打をマークしたのは1度のみと、クリーンアップを打つ選手としては物足りなさが残った。だが、今年は違う。後半戦の打撃を見るとスイングが大きくなり、ホームランアーチストとしての手応えをつかんでいるように感じる。メジャーに移籍するとなれば、複数球団の争奪戦になるだろう」

 今オフの去就が注目されるが、広島での戦いが続いている。残り6試合。CS進出に向け、球界屈指の強打者は打ち続ける。

写真=BBM