本塁打、打点は断トツの村上



令和初の三冠王を狙える村上

 相手バッテリーから見て、最も脅威に感じる強打者がヤクルト・村上宗隆だろう。目下39本塁打、98打点は断トツのリーグトップ。打率.322で首位打者も狙える位置につけている。「令和初の三冠王」に向け、カギを握るのが打率であることは間違いないだろう。

 強力なライバルとして立ちはだかるのが、中日・大島洋平とDeNA・佐野恵太だ。今年で36歳を迎える大島は衰え知らずで、不動のリードオフマンとして広角に安打を量産している。今月3日のヤクルト戦(神宮)では6打数6安打の大当たり。1試合6安打は球団新記録だった。プロ13年目で首位打者のタイトルと縁がないのは意外に感じるが、2019、20年と2年連続最多安打を獲得している。


8月10日現在、リーグ3位の打率.319をマークしている大島

 大島は昨年1月に週刊ベースボールのインタビューで年齢による衰えを感じた瞬間について聞かれ、「まったくなかったですね。周りからベテランと呼ばれるようになり、年齢のことも指摘されるようになってきましたが、いざ試合に入っても以前と何も変わらないというか……力が落ちてきたなと感じたことはなく、どちらかと言えば、まだまだいけるぞという感じですね」と語っている。

 その言葉どおり、円熟味を増した打撃技術で好不調の波が少ない。今季は5月を除くすべての月で月間打率が3割3分を超えている。首位打者の有力候補であることは間違いないだろう。

2020年に首位打者獲得


 もう1人の強力なライバルが、DeNA・佐野だ。投手から背番号「7」が確認できるほどのクローズドスタンスで手元までボールを引きつけ、内外角、高低とすべてのコースをヒットゾーンに飛ばす。村上は九州学院高で捕手だったが、佐野も広陵高で捕手として主軸を担った。だが、その後の歩みは高卒のドラフト1位指名を受けた村上と対照的だ。明大に進学して東京六大学リーグ通算打率.270、6本塁打、33打点の成績を残したが、本職が一塁で助っ人外国人が多いポジションだったことも影響して各球団は指名を回避。ドラフト9位でDeNAに入団した。

 その才能を見出したのがアレックス・ラミレス元監督だった。19年オフにメジャー挑戦した筒香嘉智の後継者として佐野を指名。「四番・左翼」に抜擢し、主将の座も引き継いだ。「荷が重い」という声も聞かれたが、20年に打率.328、20本塁打、69打点と大ブレーク。首位打者を獲得した。昨季も全143試合に出場し、打率.303、17本塁打、72打点をマーク。その働きぶりを球団も高く評価し、ドラフト9位以下でセ・リーグ初の年俸1億円プレーヤーとなった。


8月10日現在、リーグ1位の打率.324をマークしている佐野

 張本勲氏は今年の開幕前に週刊ベースボールのコラムで、「セの首位打者は佐野恵太(DeNA)で対抗は近本光司(阪神)。2人とも左打者でバットコントロールが良い。足が速くて内野安打を稼げる近本のほうが有利と思われるかもしれないが、首位打者は安打の数を競うものではなく、率を競うもの。安打が多くても凡打が多ければ率は上がらない。四球も必要となれば佐野のほうがやや分がある」と分析している。

 佐野の強みは左投手を苦にしないことだ。大島と同様にスランプが短く、修正能力が高い。2度目の首位打者は十分に狙える。

 大島、佐野以外にも17年に首位打者を獲得したDeNA・宮崎敏郎、昨年最多安打に輝き、今季もリーグトップの123安打をマークしている阪神・近本が上位にランクインしている。シーズンの最終盤まで熾烈な争いになることは間違いない。村上は三冠王に向け、最大の難関である首位打者を獲得できるか。

写真=BBM