新外国人の活躍次第



原監督は巨人を3年ぶりのV奪回に導くことができるか

 侍ジャパンがWBCで覇権奪回を飾り、プロ野球も開幕が近づきファンの期待が高まっている。週刊ベースボールでは10人の野球評論家が、今季のセ・パの順位予想をそれぞれ占っているが、セ・リーグはヤクルトと阪神の優勝争いを予想する声が多い。

 では、3年ぶりのV奪回を狙う巨人はどうか。昨季はクライマックスシリーズ進出すら逃し、4位と低迷。オフはFA補強を封印したが、タイラー・ビーディ、フォスター・グリフィン、ヨアンデル・メンデス、ヨアン・ロペス、ルイス・ブリンソンと5人の新外国人選手を獲得した。ビーディ、グリフィン、メンデスは先発要員、ロペスはセットアッパー、ブリンソンはセンターのレギュラーで活躍が期待される。

 巨人のチーム編成を見ると、新外国人選手たちの活躍がチームの命運を左右すると言っても、大げさではないだろう。ロペスが守護神・大勢につなぐ「8回の男」として稼働できれば、救援陣の安定感がグッと増す。ビーディ、グリフィン、メンデスは先発ローテーションで勝ち星をどれだけ積み上げられるか。

 ただ、助っ人外国人は実際に蓋を開けてみなければ、日本で活躍するか未知数の部分が多い。野球評論家10人の順位予想は厳しいものとなった。巨人をリーグ優勝と予想したのは篠塚和典氏の1人のみ。5人がBクラスと予想した。平野謙氏は最下位に。ヤクルトのリーグ3連覇を予想し、2位以下は広島、中日、DeNA、阪神、巨人。以下のように分析する。

「ヤクルト優位は間違いないと見る。厚みのある打線が今季も健在だし、充実している雰囲気がある。抑えが決まっていないとはいえ救援陣がそろっているのも魅力的。広島も投手力を中心に上位争いへ加わってくると思う。期待は中日。大野雄大、小笠原慎之介の左の2枚に加え、右の柳裕也や高橋宏斗も頼もしい。涌井秀章を含め先発は盤石と言える。阪神も先発陣は強力も打線が計算できないのがネック。巨人は先発陣の頼りなさが不安材料」

投手陣に不安があるが……



先発の一角として期待されているグリフィン

 球団OBの堀内恒夫氏も、週刊ベースボールのコラムで巨人の先発陣への不安を綴っている。

「確かにグリフィンとビーディは面白い存在になるかもしれない。でも、この2人はアメリカではほとんどリリーフ専門のピッチャーだからね。1年間通して、先発ローテーションを守り切れるかと言えば、やはり疑問だ。しかも、2人とも球速に物足りなさが残る。いくらボールを動かしても、日本のバッターは慣れてくれば、いとも簡単に打ち崩してしまうからね。昨季は8人の若手ピッチャーが一軍で初勝利を挙げた。だから、今季は『彼らに期待しよう』などと考えたら大きな間違いだ。よく考えてみなよ。その中で、今年一軍キャンプを故障なく無事に“完走”できたのは、2年目の赤星優志だけ。山崎伊織はキャンプを終えてから3月半ばを過ぎても、二軍のブルペンで投球練習を行っている程度だ。これではとても開幕から先発陣の一角として計算することは難しいだろうね」

「巨人で先発として確実に計算できるのは、菅野智之と戸郷翔征だけだ。この2人のほかに先発としてある程度計算できそうなのは赤星1人だけということになる。俺が重ねがさね指摘してきたように、巨人は昨季と同じウィークポイントが解消されずに残されているということだよ」

 スポーツ紙デスクは、「先発、救援と盤石な体制とは言えないが、混戦になれば優勝の芽が出てくる。原辰徳監督がチームをどう軌道に乗せるか。手腕が注目されます」と期待を込める。低い下馬評を覆せるか。名将の腕の見せどころだ。

写真=BBM