約70人が神宮球場で両監督に大声援



韮山高校同窓会ではバスツアーを企画。試合前には慶大・堀井監督、立大・木村監督を囲んでの記念撮影が行われた[写真=BBM]

【5月5日】東京六大学リーグ戦(神宮)
慶大4-4立大(慶大1勝1分)

 2019年12月から慶大を指揮する堀井哲也監督と、今春から立大を率いる木村泰雄監督は韮山高(静岡)での同級生だ。この春、初の直接対決が実現。1回戦(5月4日)には1、2年時に指導した豊岡武士元監督(三島市長)が観戦に訪れ、2回戦(5日)ではバスツアーが企画された。同校同窓会、野球部OB、野球部を支援する龍城球児サポーターズクラブが集結。東京近郊の参加者を含めて、約70人が神宮球場で両監督に大声援を送った。

 試合前には慶大・堀井監督、立大・木村監督が球場正面まで足を運び、記念撮影に応じた。試合は4対4の引き分け(プロ併用日のため9回打ち切り)。好ゲームだった。

 野球部OB会長・土屋源由氏(静岡県議会議員)は感激していた。両監督の4学年先輩(高28回卒)で、現役時代は左投手だった。

「すごい。大快挙です。ウチの場合はそこまで甲子園に行けるような学校ではありません。彼らの頑張りで韮高関係者はもちろんのこと、後輩たちにも希望を与えてくれている」

 韮山高は1950年春にセンバツ初出場初優勝の実績がある伝統校だ。春夏を通じて2回目の甲子園出場となった1995年夏(3回戦進出)を最後に全国舞台から遠ざかる。近年は部員不足に悩まされ新2、3年生で14人(マネジャー2人)。新入生は10人(女子選手1人、マネジャー1人)が入部し、ようやく活気が出てきた。土屋OB会長は言う。

「今回を契機として、堀井監督、木村監督の活躍を見て韮高を目指す中学生が増え、また、2人の指導を受けたいと、大学でも野球を続ける選手が出てきてくれることを願っています。夏の甲子園出場からもう、29年ですか……。文化的・体育的活動を重視する『学校裁量枠』を設けていないのが韮高のポリシーと言われており、文武両道を実践していく中で、後輩たちの頑張りに期待しています」


韮山高校野球部OB会長の土屋氏[左]と、同副会長の杉山氏。今年2月には両監督を招いての激励会が開催された[写真=BBM]

 バスツアーの企画に尽力したOB会副会長の杉山靖氏(高32回卒)は、堀井監督、木村監督と同級生だ。「木村は野球センスがありました。堀井は3年夏は(外野手の)控えでしたが、最後の最後まで、努力を怠ることはありませんでした。私も捕手の控え。3年間、一緒に汗を流したのは財産です。これからも2人を応援してきたいと思います」。引き分けとなった2回戦は、まさしく意地と意地の激突だった。約70人の参加者たちは指揮官2人から勇気、活力をもらい、家路についた。

文=岡本朋祐