8月16日、日本のバスケットボール界がこれまで行われたことのなかったイベントを開催する。『BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE』は5人制の男女日本代表候補、3x3の男女日本代表候補、そして、車いすバスケットボールの男女日本代表候補が一堂に会するのだ。日本バスケットボール協会(JBA)の今年度のテーマである”オールバスケット2020″の推進役でもあるJBAの三屋裕子会長とBリーグの島田慎二チェアマンに、イベント開催の意義、そして、バスケットボールファミリーへのメッセージを聞いた。

◆“真のオールバスケット2020″を実現するイベントが開催

――いよいよ『BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE』が開幕します。まずは開催の経緯からお聞きしたいと思います
三屋 そもそも”オールバスケット2020″がJBAのという今季のテーマがあります。これは日本中、世界中が大変なコロナ禍の中で、「バラバラに頑張っていたってしょうがないじゃない? ここは本当に一つになろう」ということで考えられました。今までもオールバスケットという言葉はあったのですが、ただJBAとBリーグがタッグを組んで盛り上げよう、という感じで本当の意味でのオールジャパンではありませんでした。

 インターハイや全国中学校大会が中止になる中、「バスケで日本を元気に」と言ってはいるものの何もできていなかったのが現実です。そこで、「何かしたい」という話になった時、「代表戦ができないかな」という話が出てきました。“SHOWCASE”が具体的になったのは7月に入ってからですね。そこからフリオ・ラマス(男子代表ヘッドコーチ)、トム・ホーバス(女子代表HC)と話し合いをするようになり、「8月は無理」「いや、なんとか8月にやろう」というところを、ギリギリまで話して。準備期間は1カ月なかったですね。今までだったら「大変だからいいか」というところを、今回は是が非でもと進めていきました。

――三屋会長の熱い思いを受けて、島田チェアマンはどのように動かれたのでしょうか?
島田 おそらく、三屋さんと私がこのようにインタビューを同時に受けていることなど、そもそもこれ自体が今までのバスケット界にはなかったことだと思います。おそらくスポーツ界でも、協会のトップとリーグのトップが手を携えて、一緒に何かやるんだというメッセージというのは、コロナ禍どうこうではなくて、そもそもなかったことだと思うので、これが今のバスケット界の特徴的なことだと思います。

 やはり、私はBリーグだけでなく、バスケット界全体を盛り上げるためにBリーグを盛り上げた方がよい、手段として盛り上げたいと思っているくらいの感覚です。それはチェアマンを引き受ける際にも三屋さんに相談しました。三屋さんにも「オールバスケでやっていきたい」という思いがずっとあり、そこに私が加わってもっとグイグイやっていこうと話をして、今一緒にやっているのが、こういう動きにつながっていると思っています。私は三屋会長のオールバスケ構想において、全面的にエンジンになっていこうと思っています。

――SHOWCASEは限られた環境の中で行われますが、ソフトバンクの技術なしでは協力なしではできない仕掛けなどもあると思います。
島田 Bリーグの開幕に合わせてソフトバンクさんと取り組んでいるものがこのSHOWCASEで試されることになります。視聴体験の新しい試みというのは、チャットで仲間と盛り上がったり、マルチアングルで臨場感を味わうものなどです。加えて多くの人に見てもらうために、配信をしていただくための準備をしていただいたり、プロモーションをしていただいたり。我々と一緒に、どれだけ多くの人に見てもらえるのかというところで、戦略も含めて、一緒にここまで準備に加わっていただいたことには本当に感謝しています。

――このプロジェクトのあとに始まるリーグ戦は、オリンピックに向けても重要なシーズンになると思いますが、その辺りはどのような期待や展望をお持ちですか?
三屋 アスリートは精密機械みたいなところがあって、オリンピックが1年延期されたことがどれだけ誤差を呼んでいるのかというのは選手それぞれわからないですよね。今年がピークだった選手はちょっと下降線に入るはずなので、そこをいかに落とさないかという努力はすさまじいものがあると思います。逆に今年は間に合わなかったけど、来年なら間に合うという選手も出てくると思います。その辺りで両ヘッドコーチの中では、たぶんゼロベースでチーム作りを考えていくのだろうと思いますが、少なくとも男子はだんだん成熟の域に入ってきて、若手もだいぶ伸びてきてかなりのポテンシャルがあるのだろうと思っています。それがリーグ戦の中でかなり随所に見られるはずなので、Bリーグの中で特に若手の選手の動きにはすごく注目しています。

 Wリーグは、ベテラン勢との世代交代がうまくいくかということがとても大きな課題でしたが、こちらも若手がどれだけ伸びるのかを期待していていましたし、リーグを通してホーバスHCも見るはずです。私も楽しみにしていました。タラればの話になりますが、もし今年オリンピックが開催されていたら女子代表は間違いなく表彰台に上っていたと思いますが、そこをゼロに戻さなければいけないというしんどさが女子の場合はあります。逆に男子の場合はプラスオンできるなという期待があります。

――島田チェアマンはいかがですか?
島田 今のチームの状況、代表メンバーの評価は今会長が言った通りかなと私も思います。一方で違う目線で言いますと、そもそもオリンピックの開催可否について、来年の春くらいに決めるという話が出ています。現在、日本ではJリーグやプロ野球が開催されていますが、それでもアウトドアのスポーツです。Bリーグではこれから外国籍選手も入ってきますけど、これだけ多くの試合をアリーナ内で、それも外国籍選手を迎えてリーグ戦をこなすという競技はBリーグが最多だと思いますし、そういう意味で私に課せられた使命というか、Bリーグの立場としては安全対策をしてシーズンを何とか回していく。アリーナスポーツも「安全対策をしっかりとってやっていけばできる」、というポジティブなメッセージを発信したいと思っています。できる限り東京でオリンピックをやっていただきたいという思いは強いですが、男子の日本代表にとってはやっと勝ち得た権利です。そういう意味でも安全対策を取って実現してくということを、私の立場としては大事にしていって、そこをやらないと選手たちがどこかで「怖い」とか「接触が不安」とか感じて、我々の対策が甘いことでパフォーマンスにも影響してきますから、それは代表の強化にも影響することだと思っているので。まずはしっかり、安全安心に運営できるようなことにBリーグとしてはフォーカスしていきたいと思います。運営側としては。

◆「バスケで日本を元気に」に込められたメッセージ

――最後にファンの方々へのメッセージを頂戴したいと思います。
島田 三屋会長と私の強い想いは、バスケットボールで日本を元気にするということを一番高いところに置いています。そういう意味では昨今の地政学的リスクとか、コロナとか、ワールドワイドで見ればちょっと委縮している日本社会を、できる限りバスケットで元気にしたい。バスケットを見たいという人たちに選手たちのエネルギーを届けたいと思っていますから、それがようやく8月16日に実現します。リモート観戦になりますがぜひご覧になっていただいて、「日本を元気にするためにバスケットが動き出した」と、感じ取っていただいて。また明日から頑張ろうと皆さんが思っていただける盛り上げを作りますので、ぜひ見ていただきたいですし、また今シーズンもバスケットを応援してください。

三屋 私たちは「バスケで日本を元気に」を理念として掲げています。それをどうやって示していくのか、本当に私たちはバスケで日本を元気にしているのだろうか、というところから始まったプロジェクトです。こんな困難な中でもできることは何なのか。やるやらないじゃなくて、とにかくやるために、何をどう準備すればやれるようになっていくのか。それも安心安全をキーワードにこれまで準備してきました。この世の中にバスケがある存在意義を、今こそ示したいと思っています。

 この企画に賛同したたくさんの選手たちがコンディションを間に合わせてくれて、日本の各地から16日に集ってくれます。その選手たちの想いやプレー、そして我々の想いを配信という形で乗せますので、ぜひ見ていらっしゃる方々もその思いをくみ取っていただいて、「よし前に進もう」という気持ちを持っていただければ。みんなでコロナに立ち向かって、何とか勝利をもぎ取りたいと思いますので、ぜひご覧ください。配信を見ながら会場の我々にもエネルギーを送ってもらいたいですし、我々も皆さんにエネルギーを送りたいと思っています。8月16日にお会いしましょう。