◆ネッツが最大17点差を背負う中、八面六臂の活躍で逆転勝利の立て役者に

「俺はすべてのポゼッションを制しようとしていた。だからどれだけショットを放って何得点していようと、リバウンドとアシストを残していようが考えちゃいなかった。それよりも『俺が必要とされていることをどのポゼッションでもさせてくれ』というアプローチで臨んだんだ」。

 ブルックリン・ネッツが誇るスーパースター、ケビン・デュラントは6月16日(現地時間15日、日付は以下同)に行なわれたイースタン・カンファレンス・セミファイナル第5戦で超人的パフォーマンスを披露。

 ミルウォーキー・バックスに最大17点ビハインドを背負う劣勢の中、デュラントは得点にリバウンド、アシストを量産し、114−108でネッツを勝利へと導いたのである。

 この日デュラントは第4クォーターだけで20得点。ネッツは同クォーター中盤にデュラントの2連続3ポイントで逆転に成功も、そこから接戦が続き、同点に追い付かれる場面もあったが、残り50.5秒にショットクロックが迫る中で値千金の長距離砲を炸裂。その後もフリースロー4投中3本をリングへ突き刺してみせた。

「歴史的だった。歴史に名を残すほどのパフォーマンスだった。彼はフル出場し、ほとんどミスもしなかった。チームは(ケガなどで)苦しんでいたが、その中で見せた彼のタフネスとメンタリティこそが、歴代最高の選手の1人にしている所以だ。今夜は彼にとってシグネチャーパフォーマンスであり、見ていて本当に美しかったよ」。

 スティーブ・ナッシュHC(ヘッドコーチ)が試合後にそう称えたように、デュラントはフィールドゴール69.6パーセント(16/23)、3ポイント44.4パーセント(4/9)、フリースロー81.3パーセント(13/16)の計49得点に17リバウンド10アシストのトリプルダブル。さらに3スティール2ブロックとスタッツシートを埋め尽くした。『ESPN Stats & Info』によると、NBAのプレーオフで1試合45得点15リバウンド10アシスト以上をクリアしたのはデュラントが史上初。しかもネッツ最後の52得点のうち、実に43得点がデュラントの得点またはアシストからうまれたものだった。

 支配的な活躍で世界中に衝撃を与えたデュラント。今季から再びチームメートとなったジェームズ・ハーデンは「彼が自分のスポットへ行けば、2人目のディフェンダーがやって来る。そうすれば彼は正しい決断を下すんだ。毎回じゃなくても、ほとんどの場面でね。それは彼のゲームの中で重要なことなんだ。彼はただのスコアラーじゃない。プレーメイクをして、ゲームを自分のモノにしてしまうんだ」と語り、プレーメイキングについても舌を巻いていた。

 一方のバックスは、デュラントの驚異的な活躍の前に敗戦。ヤニス・アデトクンボは「今、彼は世界の中でもベストプレーヤーだ。僕らはチームとして彼のことを倒さなきゃならない。チームとして彼のことをガードしなければ。今夜のようにタフショットへと仕向けなければいけない。次戦でも自分たちの仕事をやり続けて、彼がミスしてくれることを願う」と悔やんだ。

 もっとも、デュラント自身は「正直、俺はこういったパフォーマンスの数々を順位づけしたりしない。一度そうなったら、また俺は前に進んでいくだけだし、また次もできるようにやっていくだけ。それがゲームの楽しい部分になるのさ。キャリアの中で、俺は最高に楽しかったと思えるゲームはたくさんあった。そのことを振り返ることはあるし、また話すことはある。でも今はチームが勝てて最高にうれしい気分だ」と冷静に振り返る。

 18日に行なわれるシリーズ第6戦。ネッツは依然としてカイリーを欠く可能性があり、ハーデンがこの試合でハムストリングを悪化させてしまう恐れがあることも否定できないのだが、次々とショットを射抜くデュラントがいる限り、ネッツには必ず勝利するチャンスがあると思えてしまう。

 そのデュラントを、バックスがどれだけスローダウンできるか。もし第6戦でもアンストッパブルな活躍を許してしまえば、両チームによるシリーズは終焉を迎えてしまうのではないだろうか。