4月4日、Bリーグ・島田慎二チェアマンのポッドキャスト番組『島田のマイク』第179回が配信され、地方クラブを取り巻く雰囲気について語った。

 3月にB3リーグの香川ファイブアローズを視察したという島田チェアマンは、その足で香川県高松市に拠点を構える株式会社ヤマウチを訪問。同社は財政難に陥っていた香川に資本参画することを今年1月に発表しており、「約2億6000万円」とも言われていたクラブの債務超過を解消。島田チェアマンは「これは本当にすごいこと。今クラブの成績はいい(4月4日時点でB3リーグ2位)ですけど、B2昇格圏内にいても(債務超過を理由に)昇格できない可能性があったんですよ。そういう状況をいっぺんに解消するという決断をしていただいた救世主」と、同社と香川の関係性を説明し、感謝を伝えに同社を訪れたという。

 試合を視察した際には、好調なチームはもちろん、スタッフ、ファンも含めたアリーナの雰囲気が前向きになっていることを感じたといい、かつてクラブの社長を務めていた経験もある立場から、Bリーグを含めたスポーツ界にある課題について、次のように話した。

「雰囲気が変わっていくというのはすごく大事。スポーツクラブはどうしても“ごっつぁん主義”というか、パトロン主義の文化がどこかにあると思っている。“助けてください”というアプローチも必要なんですけど、それはあくまでも手段であって、その結果得られた魅力ある姿をもって還元していくもの。でも、そこに到達できなければ、だんだんジリ貧になって、(お金が)集まらない返せない、というサイクルに入ってしまい、それがクラブの成長を阻害し、ブレークスルーできないというのがよくあるパターン」

「スポーツチームは『状況が苦しいから助けてくれ』ではなくて、『良くなってくるから応援する価値が高まった』となっていくことが大事。良くなってきたという空気を感じたときにさらに良くなる。さらに良くなった時にさらにさらに良くなる、というのが成長の正しいプロセスなんですね。スポーツチームがブレークスルーできない要因の一つは、この空気感を作る前に、人が代わったり、選手がいなくなったり、社長が代わったり…空気を変えることができないのが理由だと思っている。今回、香川が苦しみながらもヤマウチさんとのご縁があったり、選手、スタッフの皆が一丸となり、ファンも熱量を帯びてきて、空気が変わっている様を見ている。高松での出来事が香川の未来に向けてポジティブに動き出したのは感じました」

 クラブを取り巻く雰囲気を変えることについて、島田チェアマンは「もつれた糸を一本一本解いていくような細かな作業の連続で難易度が高い」と表現したが、「そういうことを一つひとつやっていけば、全国のクラブもいい方向に行くと思っている」と日本各地のクラブにエール。「苦労してきた香川が体現してくれているということは、これからもっともっと伸びていこうというBリーグの地方クラブへのメッセージになるんじゃないかなと期待しています」と話した。

 そして、香川に資本参画する決断を下した株式会社ヤマウチについて、「香川県でファイブアローズをなんとか盛りたてて、地元に貢献していくという覚悟を持って参画いただいたと思う。Bリーグの未来と、(2026年に開幕する)『B.LEAGUE ONE』に対する可能性も感じていただいている。そこはクラブに対する思いと、リーグの方向性に対する共感と、地域をなんとかしていきたいという覚悟みたいなものが、ヤマウチさんと岡本社長の中にあったんだと思います。本当に感謝しています」と謝辞を述べた。

 今回配信された『島田のマイク』第179回では、香川への出張エピソードのみならず、部活動とクラブチームの未来、4月1日から全国販売がスタートした「B.LEAGUEチップス」、パリ2024オリンピックの組み合わせ決定などについて、トークを展開している。

【番組を聴く】クラブ成長の鍵は“ポジティブな空気”にあり『島田のマイク』第179回