開志国際に完敗の明成、次期エースに足りなかったもの

開志国際に完敗の明成、次期エースに足りなかったもの

 明成高校(宮城県)の1年生フォワード、越田大翔にとって、初めてのインターハイは苦いものとして記憶に残ることとなった。「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」準決勝の開志国際高校(新潟県)戦、越田はスタメンとして22分出場し、3得点を挙げるにとどまった。ゲームも75−95で完敗に終わった。

「自分のアグレッシブさが足りなくてチームに迷惑をかけてしまいました。自分自身としても納得できる内容ではないので悔しいです」

 試合を終えた越田は力なく、ゲームをそう振り返った。

 創部が2005年というから今年で14年目となる明成高校男子バスケットボール部。しかしその間にインターハイ1回、ウインターカップは3連覇を含む5回の優勝を成し遂げている。歴史こそ浅いものの、すでに高校男子バスケット界の強豪の1つと言って差し支えないだろう。そんなチームにあって、越田は入学前の地方遠征ですでに佐藤久夫コーチから「最初(スタメン)で行くぞ」と言われたそうだ。もちろん越田自身、いきなりスタメンで起用されるとは思っていなかった。

「緊張しました。でも先輩たちが優しくしてくれて、『思いきりプレーしていいぞ』と言ってくれたので、それに応えようとしてきました」

 そうした先輩たちへの思いが、準決勝の開志国際戦では裏目に出たようだ。

「能代カップや台湾遠征(松山盃)でもアグレッシブさを出すことが自分の課題だったんです。その時も先輩たちから『ミスを怖れずにやれ』と言われて、成功も失敗もあったけど、いい経験ができたと思います。でもインターハイでは一つのミスが大きなミスになるというか、負けにつながるので、ミスをしたら先輩に申し訳ないと思ってしまって……」

 だからアグレッシブにプレーできなかったというわけだ。

 1年生なのだから無理もない。そう思うこともできるかもしれない。しかし佐藤コーチが越田をスタメンに起用し、求めることはそういうことではないはずだ。チームを勝たせるためにどれだけ積極的にゴールへ向かっていけるか。191センチの上背がありながら、すでにアウトサイドでのプレーもできる越田だからこそ、佐藤コーチは明成の歴代ポイントガードが背負ってきた背番号「6」を1年生の越田に渡したのである。ゴールアタックができるポイントガードに育てたい。それが佐藤コーチの狙いなのだろう。

 佐藤コーチは「ウチの選手たちはコーチに似て優しいからなぁ」と笑うが、フィリップ・マーロウ(レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の探偵)の言葉を借りれば、明成の選手たちは「生きていく資格」をすでに持ち合わせている。ただバスケット界で生きていくには、もっと大げさに言えば、生き残っていくにはやはり「強くなくてはいけない」。その強さを得られるかどうかに、今後の越田の未来はかかっている。

 むろん敗れた直後とはいえ、越田もそのことを十分に感じているようだ。

「アグレッシブさが足りないので、これからウインターカップまでの期間はボールをもらったらリングを見て、年上とか年下とか関係なく、自分が行くんだという気持ちを練習で見せていきたいと思います」

 ボールハンドリングを含めたスキルも、フィジカルもまだまだ足りない。しかしそれらを得たとしても、発揮するためには自分の意志、気持ちが必要になってくる。

 良薬は口に苦し。

 今大会で飲まされた苦い敗北を薬に、明成の次期エースはここから新たな一歩を踏みだす。

文=三上太


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