今月9日に99歳で亡くなった英王室の故エディンバラ公爵フィリップ殿下の葬儀が17日、ロンドン近郊ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で行われた。殿下自身が大掛かりな葬儀を望まなかったことと、パンデミック対策の配慮もあり、近親者30人のみの参列に限られた式典は午後3時(日本時間午後11時)、全国的な黙祷(もくとう)の後に始まり、殿下の棺は礼拝堂の納棺室に納められた。

葬儀はウィンザー城の敷地内のみで行われ、王室は感染対策のためウィンザー城にも、その他の王室の居宅にも集まらないよう市民に呼びかけた。公爵にゆかりのある部隊などから約730人の軍関係者が、葬列の警護などに当たったが、礼拝堂の中で参列したのはパンデミック対策のため、近親者30人に限られた。

公爵の紋章旗に覆われ、白バラの花輪と、公爵がかつて義父ジョージ6世に与えられた軍帽と軍刀を載せた棺は、公爵自身が改造にかかわったランドローバーに載せられ、礼拝堂へ進んだ。

軍楽隊の演奏や礼砲、鐘の音が鳴り響く中、棺の後ろを公爵の4人の子供、チャールズ皇太子、アン王女、アンドリュー王子、エドワード王子が礼服姿で続き、さらにその後ろをウィリアム王子やハリー王子など他の参列者が歩いて付き添った。その後ろに、王旗を掲げた車に乗ったマスク姿のエリザベス女王が続いた。葬列が礼拝堂の入り口に着くと、女王は先に中に入った。

棺が礼拝堂前の階段の中ほどまで進むと、合図の礼砲が鳴り、参列者のほか、イギリス全土で1分間の黙祷が捧げられた。

ウィンザー城のほかイギリス各地とジブラルタルの9カ所で、黙祷の開始と終了を知らせる礼砲が放たれた。黙祷の前後、ヒースロー空港では飛行機の発着が6分間、停止されたほか、主なスポーツの試合も葬儀の時間を避けて開催された。

黙祷が終わると棺は礼拝堂内に入った。参列者はマスクをつけ社会的距離を保って、葬儀に臨んだ。

葬儀はウィンザー司祭デイヴィッド・コナー牧師が執り行い、カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー牧師が告別の祈りを主導した。司祭はエリザベス女王をはじめ、英王室の近親者とエディンバラ公爵の親類を礼拝堂に招き入れた。参列者は世帯ごとに、他の世帯とは離れて座った。エリザベス女王は1人離れて座った。ウィリアム王子とハリー王子は、横並びに離れて座った。

式典の冒頭でウィンザー司祭は、「(殿下が)女王陛下にゆるぎない忠誠を尽くしたこと、国と連邦に奉仕したことに、私たちは感動させられてきました」と述べ、「(殿下が)私たちを挑戦し、応援してくれたこと、そしてその優しさとユーモアと人間性のおかげで、私たちの日々は豊かなものとなりました」とたたえた。「感謝の心と共に、(殿下の)長い生涯が私たちにとって祝福だったことを思い出しています」と述べ、「そのため私たちは、彼の範にならえるよう恩寵をくださいますよう、きょうだいフィリップと共についに永遠のいのちの喜びを知ることができるよう、神に祈ります」と語った。

フィリップ殿下が自ら決めた式次第に沿って、続けて司祭と大主教が交代で、神と復活の奇跡をたたえ、悲しむ人をいたわる祈りを捧げた後、ウィンザー司祭は、「虹を見て、その造り主をたたえよ。 見事に美しく輝き、光る曲線が天を丸く描く。至高の両手が曲げた弧だ」と、旧約聖書外典「シラ書」から朗読した。

キリスト教の葬儀につきものの、司祭による説話などは省かれた。

社会的距離を保って立つ4人の聖歌隊員が歌った聖歌は、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテン作「神に向かいて歓呼せよ」など、フィリップ殿下が自ら選んだものだった。海軍将校だった殿下にちなみ、海や海軍にゆかりのある1860年の聖歌「偉大なる父(涯しも知られぬ青海原をも)」も使われた。

最後に聖歌隊が「神よ、女王を救いたまえ」と国歌を歌った後、フィリップ殿下の棺は礼拝堂内の王家の墓所に埋葬された。

その後、エリザベス女王を先頭に遺族が退出。葬儀が終わるとともに、バッハの「前奏曲とフーガ ・ハ短調(BWV546)」が礼拝堂のパイプオルガンで演奏された。