理経は6月7日、インフォステラと協業し、北海道広尾郡大樹町の低軌道衛星用地上局(パラボラアンテナ)2基の施工を行ったと発表した。

 今回の地上局設置は、インフォステラが海外の衛星通信事業者2社から依頼を受け、設置・運営支援を行うもの。理経の40年を超える衛星通信事業の経験と知識が評価され、施工を担当することとなった。
 インフォステラは、世界中の企業から日本での地上局設置・運用依頼に対し支援を行うほか、世界規模の地上局シェアリングプラットフォーム「StellarStation(ステラステーション)」を開発運営している。低軌道衛星は、主に防災や自然現象監視を目的とした地球観測の用途で使用されており、衛星通信事業者の多くが世界中の地上局へアクセスしたいというニーズがあるなか、アジア太平洋地域をカバーするために日本にも関心が高まっている。大樹町は、あらゆる軌道傾斜角をもつ衛星の追跡アンテナを設置するのに最適な立地で、とくに低軌道衛星にとって魅力的な場所となっている。
 インフォステラが運営するStellarStationは、世界中の地上局をシェアリング可能にする、柔軟性と拡張性に優れたクラウドベースのプラットフォーム。衛星運用者は、一度のセットアップで世界中の地上局にアクセスできる。一方、地上局オーナーは、地上局の非稼働時間を他の衛星通信事業者に貸し出すことにより、空き時間を有効に活用できる。今回設置を行った大樹町の地上局の一部もStellarStationのパートナーとなっている。
 大樹町は、80年代に「航空宇宙産業基地」の候補地とされて以来、官民一体となって「宇宙のまちづくり」を進めてきた。世界中の民間企業・大学研究機関などが自由に使える、シェアするスペースポート(宇宙港)である「北海道スペースポート」などがある。
 理経では、今後もインフォステラと協業し、大樹町エリアをはじめとする各地への地上局開設依頼に対応するほか、設置工事だけでなく低軌道衛星アンテナの調達も含めて対応できるよう、海外アンテナメーカーの取引先の開拓を進めていく。