日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は6月21日、「第21回 JCSSA DI調査」の結果を発表した。調査では、ますます注目を集める生成AI利活用の実態や導入に伴う障壁、株高・円安の経済情勢を背景にした、日本を代表するIT企業各社の景況感などが明らかになった。

 まず生成AIについて、ユーザーとして活用しているかどうかの質問では、「現在活用している」が37.6%と最多。「活用する予定がある」は14.5%で、両者を合わせると51.2%にのぼり過半を占めた。2023年11月に実施した前回調査で最多だった「活用について調査・研究している」は、前回比7.7ポイント減の35.0%と後退。生成AIはすでに活用フェーズに入ったといえる。一方、事業として生成AIに取り組んでいるのは30.3%。取り組む予定があるとした13.7%を加えても44.0%と、ユーザーとしての活用に比べやや少なかった。しかし事業としての取り組みも徐々に加速している。
 生成AIの導入・活用にあたっての障壁については、「結果の正確性が担保できない」が突出して高く44.9%。次いで「まだ法的な整備ができていない」(30.3%)、「結果の倫理的・道徳的な正当性が担保できない」(29.5%)が3割前後で続いた。これら上位3項目は、いずれも前回比で比率が拡大。問題点が徐々に明確化してきた。また「現在・将来の利用料負担」が14.1%。比率はそれほど高くないものの、前回比では6.8ポイント増と、ほぼ倍増。生成AIが活用フェーズに入ったことで、現実的なコスト面での課題意識が高まっている点も明らかになった。
 DIについては、8項目中6項目が前回を上回った。前回比でプラス幅が最も大きかったのが「賃上げDI」と「賞与DI」。一方、マイナス幅が最も大きかったのは「半年後の景況感見通しDI」だった。「現状の景況感判断DI」は34.6と前回から0.6ポイント増。「半年前との景況感比較DI」は28.3で前回比0.4ポイント減と、いずれもほぼ横ばいだった。一方「半年後の景況感見通しDI」は26.1の6.3ポイント減。しかし、マイナス幅は1桁にとどまった。
 DIが最も高かったのは「賃上げDI」で72.3。前回比で11.1ポイント増と大幅に上昇し、上昇幅が最も大きかった。続いて「賞与DI」が47.9。上昇幅は同じく11.1ポイント増と大きかった。次いでDIが高かったのが「中途採用DI」で42.8と前回比2.5ポイント増。「新卒採用DI」は8.9ポイント増の24.4と上昇幅は大きかった。インフレに対応しつつも人材確保への投資は欠かせない現状を反映した。また、「次期設備投資DI」についても36.4で、9.1ポイント増と上昇幅が大きかった。株高・円安の環境下でのIT企業各社の景況感は、先行きには憂慮しつつも、おおむね改善傾向にあることが分かった。
 調査は5月15〜22日、JCSSA会員企業の371社を対象にインターネットで実施。234社から回答を得た。