技術の力で車の事故から子どもを守れ

技術の力で車の事故から子どもを守れ

 子どもを巻き込む自動車事故が立て続けに起った。こうした事故こそ、技術で防ぐべきものだ。10年後には、このような悲劇を生まない社会にすることができると信じたい。
 池袋、大津、千葉で起きた事故は、いずれも60歳以上のドライバーが加害者。子どもや保育士が巻き込まれたことも共通している。歩道を歩いていて突然車が突っ込んできたり、公園に車が突っ込んだりと、被害者側からすれば、どうにも避けることができない事故でもあった。車の事故対策として、シートベルトやエアバッグなどが整備されている。しかし、これは自動車を使う側を守る対策にすぎない。歩行者を守る対策を施した車は少ない。これでいいのだろうか。
 人口の3割近くが高齢者という日本では、高齢者ドライバーも多い。池袋の事故は、87歳という非常に高齢なドライバーが起こしたものだっただけに、高齢者が運転することの是非についても議論が高まっている。運転能力が衰えたら運転免許を剥奪して、自動車の運転から引退してもらう。至極まっとうな議論だ。とはいえ、車がなければ事実上生活ができないような地方も多い。
 体力が衰え、ますます車が必要になってくる高齢者から移動手段を奪うことは難しい。問題は加齢だけではない。怪我や病気で運転能力が衰えることもある。そもそも、寝不足で運転してヒヤリ……。誰もが経験することだ。飲酒運転は酒を飲まなければ避けられる。しかし、不可抗力やちょっとした不注意で自分や他人を危険にさらしてしまうリスクは枚挙にいとまがない。
 自動運転技術は着実に進歩している。東京の街中、ごちゃごちゃした通りを完全自動で安全に走るまでには至っていないが、無人のトラックがアメリカ大陸を横断できるまでに洗練されてきた。まだまだ道半ばだが、華やかな夢の技術であることには違いない。目的は、利用者の利便性や快適さを実現するためだ。
 一方で自動運転車が普及する副産物として、ドライバーだけでなく歩行者にとっても、より安全性が高まるだろうともいわれている。素早く危険を察知して車を止める自動ブレーキシステムは、そのいい例だ。とっさの操作が間に合わなかったとき、気が動転して誤った操作をしてしまったとき、技術がカバーしてくれる車は心強い。アクセルとブレーキを踏み間違えるという単純なミスは、実は誰にでも起きうることだ。
 車自身が状況を判断できれば、こうしたミスも未然に防げる。人が操作する必要がない自動運転はレベル5とされているが、ブレーキ操作かハンドル操作のどちらかならレベル1。ブレーキとハンドル操作の両方であればレベル2に相当する、いずれも自動運転の技術だ。
 この2月、国連欧州経済委員会で日本やEUなどを中心とする40カ国が新車に自動ブレーキの標準搭載を義務化する原案について同意した。来年にも発効する見込みだ。まだまだ精度を高める必要はあるが、実際に標準搭載が進めば、事故防止や被害の軽減に必ず役立つだろう。
 走る凶器を操ることが車の運転。しかし、人間はミスを犯す。技術でミスをカバーできるなら積極的に社会制度として導入したい。例えば、運転能力を何段階かで評価し、それぞれに応じた車の装備を義務づける限定免許制度はどうだろう。マニュアル車が運転できるのは最高ランク。運転能力がやや劣ると判定された場合は、自動ブレーキや緊急時のハンドル操作機能の装備を義務づける。
 能力にかなり問題ありと判定された場合は、レベル4以上の自動運転車しか運転できない……。安全という観点から、万一操作を誤っても事故につながらない車を一日も実現させて欲しい。(BCN・道越一郎)


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