絡み合う電線に、カラフルなアニメやゲームの看板、道行く人々のガヤガヤした音。日本橋のオタロード界隈は今日も、目に耳に賑やかだ。そんな街の路地裏にある『喫茶オランダ』は、創業69年の老舗。先代から店を継いだ山田芳司さんと、妻の玲子さんが二人三脚で切り盛りしている。

●町の人たちに、憩の場を


厳しかったという父から自家焙煎の技術とコーヒーの味を教え込まれた芳司さん。こだわりのコーヒーを求めて、一日に三度も店を訪れる常連客もいる。一杯380円という良心的な価格に加え、「朝早い人たちにちょっとでも何かしてあげたい」と、モーニングでは飲み物にサービスのミニサンドと旬の果物がつく。
『オランダ』へ行くと、様々な年代のお客が、本や新聞を読んだり、おしゃべりをしたり、ぼーっとタバコを吸ったりと、思い思いの時間を過ごしている。「やっぱり喫茶店はくつろげるところでないと」という芳司さんの言葉どおり、席に着いてコーヒーを口にした瞬間から、ゆったりとした心地よさに包まれる。こうした地域に愛される喫茶店が長く続いていることが、ただただ嬉しい。
『喫茶オランダ』
住所/大阪府大阪市浪速区難波中2-1-5
※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。