大学入試センターはこのほど、2025年の大学入学共通テストより初めて出題する教科・科目案を公表しました。一部の新科目では問題例(サンプル問題)を公表しており、資料や文献から情報を読み取り、考えて答えることが必要な問題が目立ちます。教科書を丸暗記するのではなく、知識を活用する思考力や判断力が問われることは、間違いなさそうです。

この記事のポイント

  • Q どうして出題科目が変わるの?
  • Q 出題傾向はどうなる?
  • Q 小学生のうちからできることは?

Q どうして出題科目が変わるの?

A 2022年度の高校1年生から始まる、新学習指導要領に対応するためです。

大学入学共通テストは、大学志望者に対して、高校段階の基礎学力の程度を判定し、大学教育に必要な能力を把握するために、大学が共同して実施するテストです。
一方、高校では、世界史と日本史を近現代に絞って学ぶ「歴史総合」などの新しい科目を設けた新学習指導要領が、学年進行で実施されます。その下で学んだ生徒が大学入試を迎えるのに合わせて、入試の科目も変えようとしているのです。

Q 出題傾向はどうなる?

A 資料を読み取る形の出題や、思考力・判断力を問う問題が特色です。

公開されたサンプル問題は、「地理総合」「歴史総合」「公共」「情報」の四つです。いずれも、グラフや図、写真、文献などの資料を含んだ問題を読んだ上で、答えを選択する形式が目立ちます。

「歴史総合」の第2問では、近代のオスマン帝国・日本・清の3か国で制定された憲法の内容を比較し、共通の背景や、関連性を探る問題が出されました。特徴的なのは、問いの設定が、調べたり、話し合ったりしながらテーマを掘り下げていく「探究型」であることです。年号や出来事、人物名を暗記するだけではなく、その知識を活用して考察し、新たに湧いてきた疑問を追究するという、新学習指導要領が目指す学び方が、入試問題という形で明快に表れています。

Q 小学生のうちからできることは?

A 自ら課題を見つけ、解決する学び方に、慣れることです。

高校の新学習指導要領は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という、三つの資質・能力の育成を目指しています。これは、既に実施されている小中学校の学習指導要領と、共通しています。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング=AL)は、この三つの資質・能力を育むための授業のあり方です。
共通テストの「情報」のサンプル問題では、学習成果発表会に向けて、発表内容にふさわしい図を選択させる問題が出てきます。小学生のうちから、こうした学習活動を積み重ねていれば、回答は難しくないでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

大学入試センターが提示した共通テストの出題教科・科目案は、今後、文部科学省や高校、大学関係者などが協議して、夏までに正式に決まります。
勉強とは、自分で課題を見つけて考え、答えを出す力を身に付けることだ……という意識を育てることが、将来の大学入試に対応する学力にもつながることでしょう。小・中・高校では、ALに向けた、さらなる授業改善が求められます。

(筆者:長尾康子)

出典:
※大学入試センター 平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html