コツコツ貯めてきた子どもの教育資金。ところが、離婚が決まった途端、夫から「半分よこせ」と要求されているーー。不安になった妻からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者には2人の子どもがいます。将来の教育費用として、それぞれ毎月3万円ずつを貯金すると夫婦で決めて、その通りにやってきました。

ただ、子ども名義の通帳をつくることはなく、あくまで家計簿上、そういう設計にしていたということのようです。

同種の質問はほかのユーザーからも複数寄せられています。離婚にあたって、教育費も含めて、財産を分け合いたい(財産分与)という夫の要求を拒否することはできるのでしょうか。鈴木菜々子弁護士に聞きました。

●財産分与の対象になる

――教育費も財産分与の対象になるんでしょうか?

財産分与は夫婦の協力によって得た財産を清算する制度です。そのため、子どもの教育資金という名目であっても、お給料等、夫婦の協力によって得られたと評価できるものを原資とする積み立てであれば、財産分与の対象になります。

この場合、積み立てが子ども名義の預金口座にされていたとしても、財産分与の対象となることに変わりはありません。

ただし、子ども名義の預金の原資が、例えば、祖父母から贈与されたものである場合等は、その預金は子どもの財産となりますので、財産分与の対象とはなりません。

●子どもの教育費はどうなる?

――財産分与の対象になると、子どもの教育資金が減ってしまいます。離婚後、今回の父親には、教育費に対してどういう責任がありますか?

離婚時に養育費の取り決めをしたとしても、父親は必ずしも、月々の養育費以外は一切負担しなくて良いというわけではありません。

養育費は、両親の年収によって支払うべき養育費の金額を簡易に算出することができる「算定表」によって決められるのが一般的です。この算定表で定められる養育費の金額は、一定程度の教育費が考慮されています。

しかし、ここで考慮されているのは子どもが公立学校に通っている場合の教育費のみです。そのため、私立学校や大学等に子どもが進学した場合は、公立学校の教育費との差額分について、父親にも支払いが命じられることがあります。

父親にも支払いが命じられるかどうかは、進学についての父親(養育費の支払者)の承諾の有無、承諾がなくとも両親の収入、学歴、地位等から私立学校や大学への進学が不合理ではないかという観点から判断されます。

支払いが命じられる場合は、公立の教育費との差額分を両親それぞれの収入額で按分するケースが多いです。

画像はイメージです(freeangle / PIXTA)

●交渉で財産分与の対象外とすることも

――そもそも養育費すら払ってもらえないというケースもよく聞きます。妻にできる対策はありますか?

養育費の支払いに心配がある場合は、離婚調停で調停調書を作成するか、公証役場で公正証書を作成しておくと安心です。これらがあると、養育費の支払いが滞った際に相手方の給与等の差押えが可能になります。

ただ、夫の経済状況が心配であり、差押えが上手く行かないおそれがあるケースでは、離婚時、少しでも教育資金を確保しておきたいところです。

例えば、妻側も子どものための積み立て預金は、必ず子どもの学費に充てることを書面で約束する提案をする等、財産分与の対象から外してもらうように粘り強く交渉していくのが良いでしょう。

交渉の結果、学資保険があるケースなどでは、財産分与の対象から外すという合意がなされることも実際上多いです。

【取材協力弁護士】
鈴木 菜々子(すずき・ななこ)弁護士
弁護士登録以降、離婚を主とした家事事件に注力。離婚相続部部長を務める千葉市の弁護士法人とびら法律事務所は、累計3500件以上の相談実績を誇る。早期解決を目指し、裁判所を使わない協議案件に力を入れている。
事務所名:弁護士法人とびら法律事務所
事務所URL:http://www.tobira-rikon.com