結婚後ともに生活する中で、次第に「素の自分」を見せるようになるのは自然なこと。しかし、度が過ぎれば、限界を感じるのも当然のことです。

「かなりの不潔症である夫と離婚したい」という相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の夫は、1週間お風呂に入らないのも当たり前で、歯みがきもせず30代ですべての歯をなくしてしまいました。相談者はたびたび注意しましたが、夫が不機嫌になってケンカになるだけだったそうです。

また、自営業をしている夫には、支払いの補填として今まで1000万円以上貸しており、消費者金融でも借金をしているような状況だといいます。

相談者は、極度の不潔や多額の借金を理由とした離婚を検討しているようです。もし裁判で離婚が争われることになった場合、認められるのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。

●「夫婦関係が修復不可能な程度か否か」がポイント

——「極度の不潔」や「多額の借金」という理由は、離婚事由に当たりますか。

法律上、離婚が認められるためには、離婚事由が必要となります。

民法770条1項で規定されている離婚事由は、(1)配偶者に不貞な行為があったとき、(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき、(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5つです。

極度の不潔や多額の借金は、(5)の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すれば、離婚請求が認められます。

まず、「極度の不潔」についてですが、不潔であるからという理由だけでは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」には該当しないでしょう。

もっとも、不潔であることが理由で夫婦関係が悪化し、もはや修復の可能性がないような場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する場合もあると考えます。

「多額の借金」についても同様で、それだけでは「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当しないでしょう。

ただし、稼いだ給与の大部分を毎月の借金の返済に充てて、生活費すら入れないような状態が長期間継続し、改善の余地がない場合には、夫婦関係が修復不可能な程度にまで悪化しているといて、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する場合もあると考えます。

——「不潔」を改めさせるために、取り得る法的な手段は何かありますか。

残念ながら「不潔」を改めさせるためにとり得る法的な手段はありません。夫婦間の話し合いで解決せざるを得ないと思います。

【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com