夫と別居中で離婚調停を控えている女性。陰謀論にハマった夫に暴言を吐いたことがどう考慮されるのかが気になり、弁護士ドットコムに相談を寄せています。

女性は「コロナ陰謀論」にのめり込んだ夫との生活に疲れ果て、子どもと一緒に別居しました。夫は「コロナの勉強をするから半年くらいは仕事しない」と仕事をやめて1日中インターネットを見ており、女性が仕事から帰ると陰謀論を延々と話してきました。

そんな状況は半年間続き、女性が新たに仕事を探すよう言っても「勉強しないと!世界が大変だ!」と返す夫。そんな夫の態度にしびれをきらし、女性は度々大声でキレてしまいました。

今後離婚調停をする予定ですが、夫は女性との喧嘩の録音を元に「夫は自分は被害者だと主張する」とみています。

果たして、このように双方の考える離婚原因が大きく食い違う場合、離婚調停にはどのようにして臨めば良いのでしょうか。光安理絵弁護士に聞きました。

●裁判官が白黒を決める訴訟とは違う

——離婚調停でのポイントを教えてください。

相談者の女性からすれば、陰謀論にのめり込み、仕事までやめる夫に当然離婚原因があるとお考えだろうと思います。ただ、こちらが大声で「キレて」しまった際の録音を取られているということでご不安なのでしょう。

さて、離婚調停で一番大事なのは、双方が離婚に合意しないと調停は成立しない、ということです。つまり、調停の場合、あくまで裁判所での話し合いですから、裁判官が白黒を決める訴訟とは異なり、調停委員がどちらかの言い分を正しいと決めつけることはありません。

したがって、調停委員に対して、(1)なぜ離婚したいのか、夫が陰謀論にのめりこんでいることでどれほど夫婦関係が大変になっているのかを説明し、(2)夫が録音を提出してきた場合には、その録音がどういうときに録音されたものなのか、を説明すれば大丈夫です。

——離婚調停を有利に進めるためにはどうすれば良いですか?

離婚調停を有利に進めるためには、調停委員に対し、ご自身の伝えたい離婚理由を明確にして言葉で伝えることが重要です。書面にまとめるときは、A4用紙1枚程度に簡潔にまとめて提出しましょう。

また、自分が求める離婚の条件、例えば養育費の額、財産分与の額、慰謝料の額をある程度 数字で明らかにしておくことも大事です。

どのくらいの額を請求できるのか、どれくらい請求するのがよいのか迷われるときは、専門家である弁護士に相談するのも良いでしょう。ご自身の希望条件が調停委員にしっかり伝わらないと、調停委員も相手に対しはっきりと伝えることが出来ずに、1回1回の調停が、進展もなく終わってしまうことがあります。

最後に、別居中ということですから、夫の収入のほうが多い場合には、夫に対する婚姻費用(生活費)の調停も一緒に申し立てましょう。それにより、離婚調停が長引いた際にも生活費を確保することができます。

【取材協力弁護士】
光安 理絵(みつやす・りえ)弁護士
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、司法研修所を経て、東京地方検察庁、横浜地方検察庁において検察官として捜査・公判活動を行う。2007年に検察庁を退官し、仙台弁護士会に弁護士登録。現在、弁護士4名を擁するソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。
事務所名:ソレイユ総合法律事務所
事務所URL:http://www.sendai-soleil.net/