記事で名誉を傷つけられたとして、野田聖子衆院議員の夫が、『週刊新潮』を発行する新潮社と作家・投資家の山本一郎さんに1100万円の損害賠償を求めていた裁判で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は8月8日付で、夫側の上告を棄却した。

これによって、名誉毀損による不法行為は成立しないと判断した2審判決が確定した。野田氏の夫は『週刊文春』を発行する文藝春秋も名誉毀損で訴えていたが、こちらについて最高裁は同日付で上告を退けて、55万円の支払いを命じた2審判決が確定した。

野田氏は8月10日、自身のブログで「最高裁の判断は誠に遺憾」とコメントしている。

●元暴力団員は「真実」と判断された

問題になったのは、2018年7月26日発売の『週刊新潮』の記事と、同年7月19日・23日の山本氏によるヤフーニュースの記事。いずれも、野田氏の秘書が、違法性が指摘されている仮想通貨事業の関係者をともなって、金融庁の担当者と面談したことについて、「不当な圧力である」と批判する内容だった。

週刊新潮の記事は、夫が(1)仮想通貨事業に関与していた、(2)野田氏を通じて金融庁に圧力をかけた、(3)元暴力団員だった、などと報じた。また、山本氏も(1)と(3)について記述していた。

1審・東京地裁は2021年4月、秘書と金融庁担当者の面談が、夫の意向に基づいておこなわれたという事実、仮想通貨事業に関与しているという事実、元暴力団員であるという事実の重要な部分は「真実である」と認定。違法性がなく、名誉毀損による不法行為は成立しないと判断した。2審・東京高裁も同年12月、夫側の控訴を退けていた。

文藝春秋を相手取った裁判では、1審・東京地裁が2021年3月、名誉毀損を大筋で認めて110万円の支払いを命じたが、2審・東京高裁は、夫が元暴力団員ということなどについては「真実と信じる相当の理由がある」として、55万円に減額していた。

野田氏は、第1次・第2次岸田政権に入閣して、内閣府特命担当(地方創生・少子化対策・男女共同参画)、女性活躍担当、こども政策担当、孤独・孤立対策担当大臣を兼務していた。

●野田議員に求められる「説明責任」

今回の上告棄却を受けて、週刊新潮編集部、週刊文春編集部、山本一郎さんは弁護士ドットコムニュースに次のようにコメントした。

「最高裁の上告棄却により、野田聖子氏の夫が、かつて反社会勢力に身を置いていたと報じた週刊新潮の記事の真実性が認められました。当然の判決だと考えます。

本誌が訴えられた当該記事を取材した当時、野田氏は夫の過去について明確に否定。その後、夫が本誌を名誉毀損で東京地裁に訴えたことで再度コメントを求めたところ、〈裁判中につき回答は控えます〉(野田聖子事務所)と言うのみでした。

判決確定で問われるのは、ひとりの政治家として、また大臣や与党の要職を歴任してきた野田氏が、夫の過去の経歴を偽り、ひた隠しにし続けていることではないでしょうか。

常日頃から野田氏は『日本初の女性総理』を目指すと公言されておりますが、世間に対して明確な説明が求められます」(週刊新潮編集部)

「主張の一部が認められなかったのは残念ですが、記事の根幹部分である『野田文信氏が指定暴力団に在籍していた』という記述が真実だと認められた点については、正当な司法判断が下されたものと考えています。判決確定を受けて、野田聖子衆院議員が説明責任を果たされることを期待しております」(週刊文春編集部)

「この度は自民党・野田聖子さんのご主人との名誉毀損裁判において、ご主人は会津小鉄系下部団体の元暴力団構成員であり、野田聖子さん事務所や秘書も関わりの上で仮想通貨上場について金融庁職員に対して事情説明を求めていたという当方記事が真実相当とした高裁判決が最高裁上告棄却となり確定したことは、当然ではありながらも適切に裁判所にご判断いただいたものと思います。一方で、最後までご主人の潔白を信じるとされた野田聖子さんの情愛の深さもまた事実で、今後もご夫婦で手を取り合って日本社会、経済のためにご精励賜れれば幸いです」(山本一郎さん)