法廷録音をめぐる制裁裁判で過料3万円の決定を受けたことを不服として、大阪弁護士会の中道一政弁護士が申し立てた抗告について、大阪高裁(齋藤正人裁判長)は6月9日、棄却する決定をした。中道弁護士は最高裁に特別抗告するという。

中道弁護士は5月30日にあった公判で、法廷内での録音をめぐり岩﨑邦生裁判官と押し問答になり、退廷命令を受けた。指示に従わず法廷に留まっていたところ、警備員から手錠をかけられて拘束室に連行され、その後、制裁裁判で過料3万円の決定を受けた。弁護人が制裁裁判にかけられるのは約40年ぶりだった。

決定書によると中道弁護士は、法廷に留まろうとしただけで警備員に対して激しく抵抗していないなどと主張。これに対して裁判所は、退廷命令の執行に抵抗したことには変わりがなく、裁判官や書記官が現認し、公判調書にも記載されているとして退けた(刑訴法52条)。

中道弁護士は、退廷命令を発したことや録音を認めない理由を述べなかったこと、退廷命令の執行を継続したことなどが憲法違反(31条、37条3項)に当たるとも主張したが、「制裁に至る経緯にすぎず、制裁自体が法令に違反することを基礎づけるものではない」として認められなかった。