茨城県の男性職員が県内の出張で「キセル乗車」をしたとして、減給3カ月の懲戒処分となりました。茨城県によると、職員は2023年9月から11月まで、JR常磐線で自宅のある水戸駅から出張先の高萩駅に行く際に、キセル乗車を10回ほど繰り返していたそうです。また、グリーン料金を払わずに、グリーン車に乗ったこともありました。

職員のキセル乗車による不正金額は8540円でしたが、JR東日本から請求されたのは、134万7600円だったといいます。いったいなぜこんな高額になってしまったのでしょうか。

●ポイントは定期券の不正利用

弁護士ドットコムニュース編集部が茨城県に取材したところ、職員は出張する際に、420円の運賃がかかるところを、初乗り料金の190円の切符を使って乗車し、差額の230円分を支払っていませんでした。

また、職員は2023年8月から11月までの間に6回程度、グリーン料金を払わずにグリーン車に乗車していたとのことで、11月末にグリーン車から降りてきた職員に駅員が声をかけて、不正乗車が発覚したそうです。

職員のキセル乗車による不正金額は8540円でしたが、実際にJR東日本から請求されたのは、134万7600円でした。なぜ、こんなにも高額になったのでしょうか。

茨城県によると、この内訳は水戸駅〜高萩駅間の運賃分とグリーン料金分に分かれているといいます。ここでポイントになるのが、定期券です。

職員は水戸駅〜高萩駅間の一部区間にかかる定期券を持っていました。JR東日本の旅客営業規則では、定期券を不正に利用した場合、「普通旅客運賃」とその2倍に相当する額の「増運賃」をあわせて請求されてしまいます(265条)。

つまり、職員は水戸駅〜高萩駅間の片道運賃860円の往復分1720円を、定期券の開始である4月から発覚した11月末まで約8カ月分の「普通旅客運賃」と、その2倍の額に相当する「増運賃」の請求を求められたのです。

これだけで、約123万円となりグリーン車不正利用の金額が加算され、合計134万7600円になりました。茨城県によると、職員はすでに全額を支払ったということです。

SNSでは、「気軽にやったんだろうけど…」「不正せずに乗車していればよかったのに」と高額請求に驚きの声が上がっていました。