レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ランボルギーニ「ウラカンSTO」に乗って穏やかではいられないと言います。どういうことなのでしょうか?

驚愕の性能を公道で? というわけではないのだろうが……

 僕(筆者:木下隆之)はランボルギーニが発表した「Huracan(ウラカン) STO」を走らせる機会に恵まれた。こいつは驚愕の性能を誇る。世界に冠たるスーパーカーメーカーが開発したスーパーカーだ。このモデルが公道走行に必要な登録ナンバーを備えていることが不思議でならない。

 あくまで仮の話だが、ドライバーの気持ちが穏やかでいられれば、のんびりと観光地へドライブに行くことも、都内の小洒落たレストランに向かうこともできる。だってナンバーが付いているのだから、警察に咎められることもないのだ。

 ただ、ウラカンSTOでのんびりドライブできる人間は、この世に1人もいないに違いない。ましてレストランへの足代わりだなんてもってのほか。高級ホテルに乗りつけたって、こいつを運転できるバレーパーキングなんてありしゃしない。ウラカンSTOは、ル・マン24時間やデイトナ24時間で連覇したレース専用車「ウラカンGT3」をベースに開発したロードゴーイングマシンなのだ。

 室内には堅牢なロールケージが張り巡らされ、スターターボタンを押したら爆音が轟く。このマシンで富士スピードウェイを攻めたのだが、その様子をユーチューブのためにインカー撮影したものの、爆音があまりに激しくて、音声がまったく聞こえなかった。

 車体を見ると、お仕着せばかりの本革と最低限のエアコンが装備されており、雨天用に溝の切ったタイヤがスリックタイヤの代わりに履かされているに過ぎない。そのあたりが公道仕様であることのささやかな優しさであり、中身はほとんどレーシングマシンなのだ。ちなみに富士スピードウェイのストレートで、あっさりと300km/hを記録してみせた(汗)。

 デイトナサーキットでのラップタイムは、ウラカンGT3の2.6秒落ちだという。かたやスリックタイヤ、一方のウラカンSTOは溝付きタイヤである。もしこいつにスリックタイヤを履かせたら、タイムは逆転する。予選で軽々とポールポジションを奪って見せるに違いない。こんな化け物にナンバーを与えてしまうのだから、気が狂ったというしかない。

BMW Motorrad「M 1000 RR」

 そこで思い浮かべたのは、BMW Motorrad初のMモデル「M 1000 RR」のことだ。これもウラカンSTO同様に狂気だ。水冷4ストローク並列4気筒エンジンは、最高出力212PS、最高速度は306km/hだという。それでもナンバーは取得できるから、観光地にのんびりツーリングすることも、都内のレストランに向かうことも可能だ。ただしウラカンSTO同様に、気持ちが穏やかでいられるかは疑問だ……。