日本最大級のカスタムの祭典YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー)が2年ぶりに開催されます。今回は主催のムーンアイズ代表のShige菅沼氏とショーディレクターの角“PAN”正和氏にショーについて話しを伺ってみました。

2年ぶりの開催となるYOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW

 1992年に『アメリカン・カスタムカー・ショー』としてスタートし、2002年よりモーターサイクルのエントリーがスタートしてから「日本最大のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典」に発展したYOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー※以下:HCS)ですが、昨年は『新型コロナウイルス感染拡大』の影響から中止の措置が取られました。

 毎年、12月の第1週の日曜日に神奈川県横浜市にあるパシフィコ横浜で開催される同ショーが近づくとホットロッドやアメリカン・マッスルカー、そしてチョッパーやカスタム・バイクのマニアの皆さんから「今年のホットロッドカスタムショーはどうなるのか?」「開催されるのか?」という質問を多く耳にするのですが、やはりその真偽を知るには主催者に聞くのが一番の近道。今回はYOKOHAMA HCS直前情報として主催のムーンアイズ代表、Shige菅沼氏とショーディレクターの角“PAN”正和氏に「コロナ禍の中で如何にイベントを成立させるのか」をテーマにまずは前編として話を伺ってみました。(聞き手:渡辺まこと)

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──昨年は(新型)コロナの影響で中止となったHCSですが、いよいよ今年の開催が迫ってきました。今回は“プレ30周年”ということなのですが、これは一体どういうことでしょうか?

Shige 30周年っていうのは、ひとつの節目であり、通過点なんですけど、やはり(コロナ以前の)2019年と同じ状態で開催したいんです。2021年は世の中の状況を見て「開催出来るだろう」という予測のもとに(開催を)決定したのですが、まだまだ先の状況がどうなるか分からないのが現状です。たとえば2022年も今年のように新型コロナウイルスが収束していない状況で海外からのゲストもナシ、となれば今年と同じようにHCSは“プレ30周年”となります。あくまでもコロナ以前と同じように開催が出来なければ、ずっと「プレ30周年」にしようと考えているんです。いわば前夜祭みたいなものですね。

Shige菅沼 1955年生まれ。青年期からアメリカン・カスタム・カルチャーに魅了され、1983年に渡米した際、アメリカのムーンアイズを訪れたことが縁となり、個人で“ムーンディスク”の輸入販売を開始。その流れから1986年に“ムーン・オブ・ジャパン”を設立。1987年にムーンアイズの創業者であるディーン・ムーン氏が他界し、後を受け継いだシャーリー夫人が'90年に亡くなってからUSAを含めたすべてのムーンアイズの業務を引き継ぐ。1992年よりYOKOHAMAホットロッド・カスタムショーを主催し、2002年からは同ショーでモーターサイクル部門もスタート。日本のアメリカン・カスタム・カルチャーをまさに黎明期から牽引する人物です

──では新型コロナが蔓延する以前の状態にならない場合は、ずっと「プレ30周年」と銘打って開催ということですね。

Shige そうですね。世界中の人たちが集まれる状況になってから初めて「ホットロッドカスタムショー30周年」というカタチにしたいなぁって(考えています)。イベントとしてはもちろん、今の状況の中でも、なるべくベストなものにしたいと思っていますので、アワードもこれまでどおりに決定します。そのアワード受賞者が翌年のホットロッドカスタムショーで(ゲストたちと共に)ショーのオープニングで会場にライドインする点は変わらないんですが、今までと同じ状況で開催出来なければ“30周年”というカタチでは、やはり先送りになりますね。

──そのHCSのアワードですが、例年はいつも海外からのゲストが発表の時にステージに登壇していたじゃないですか? 今年はどうなるのでしょうか?

Shige 今年は必然的にクルマもバイクもベストやペイント(のアワード)など少数の授賞式になると思うんですが、少数とは言っても、マガジンピックやメディアピックなどを含めるとすべてのアワードをステージで表彰することは時間的に無理なので。その点、ショーのアワードは圧縮したものになります。(ショーディレクターの“PAN”角氏に向かって)なるでしょ?

角“PAN”正和 2006年にムーンアイズに入社し、広報を担当。2012年よりYOKOHAMAホットロッドショーのショー・ディレクターに就任し、以来、日本のアメリカン・カスタム・カルチャーの発展に尽力する。今回のBMW Motorrad×ムーンアイズのコラボレーションの仕掛け人的存在で、HCSではショーのレイアウトや企画、準備や当日の運営など多岐に渡る活躍を見せる人物です

 そうですね。今年はクルマでエントリーした方たちになるべくスポットを当てることが出来ればと考えています。

──そもそもホットロッドカスタムショーですからね。

 今年はバイクもクルマも同じくらいの割合で壇上で受賞式を開催出来たらと考えています。

Shige バイクのアワードや海外からのゲストもバイク関連の方が多いので、これまでは必然的に表彰式もバイクが中心になってしまっていたんですけど、今回は海外からのゲスト招聘もないので、クルマでエントリーした方たちもチャンスといえばチャンスかもしれませんね。こちらも全部門での表彰は時間的に無理だと思うのですが、なるべくクルマの方たちにもスポットは当てたいですね。

2019年YOKOHAMA HCSでアワードを獲得したシュアショットによる「K2」。以前に当サイト(バイクのニュース)でも紹介済みなので、詳細に関してはソチラを御覧ください。ちなみにこのマシンはHCS2021のショーオープニングでライドインする予定です

──2019年はクルマのベストオブショーも久しぶりに出ましたからね。あれは何年ぶりでしょうか?

Shige 6年ぶりですね。

──という年数を考えても、クルマでエントリーした方々への審査がかなり厳しいように感じるのですが(苦笑)、あれは何故でしょうか?

Shige やはりエンジンや細部など全体が見えるバイクとクルマでは(見方が)違うんですね。クルマの場合、たとえばペイントや外装が良くてもエンジンルームや車体の下を見ると何もしていないものが多かったり……バイクの場合、車体全体のクオリティも一目瞭然なんですが、クルマの場合、色々なところを見ると“アラ探し”的になってしまうんです。でも選ぶのであれば、やはり隙のないクオリティのものを我々も選びたいんですよね。

1932 Ford Model-B Roadsterをベースにした"K's Roadster"はご覧のとおり一切の隙を感じさせない世界レベルのフィニッシュ。今年は2年間の製作期間があっただけに他のカー・エントラントの作品も期待したいところです

──それがあの審査の結果に繋がっているんですね。一方でバイクの場合だと、エントリーの皆さんも、かなりレベルが高いので。もはや世界基準に達しているというか。今や海外のハリウッドスターやミュージシャン、セレブの人たちもインスタのダイレクトメッセージで日本のカスタムビルダーにバイクをオーダーしている時代ですからね。それほど日本のカスタムが注目を浴びている時代なので。

Shige 今年はクルマのエントリーの方にとっても、ある意味、表彰式のステージに上るチャンスでもあるわけですから、やはり期待はしていますよ。

──そういう部分でも“プレ30周年”という部分でも2019年以前のホットロッドショーとは違う感じのショーになるような感じがするんですけど、他にも何か状況的に変わった点ってありますか?

 やはり新型コロナの影響で事前エントリーを例年よりは少なく絞りました。会場の通路も広く確保しなければならないので。そこら辺は会場側のガイドラインに合わせて進めていきました。

昨年は世界的な『新型コロナウイルス』の感染拡大によって中止を余儀なくされたHCS。東京オリンピックが延期されるほどの出来事だったゆえ、それも致し方ないところでしょう

Shige 会場自体は例年どおりパシフィコ横浜全体を使用するのですが、やはりソーシャルディスタンスはキープしてください、という要望がありましたので。2019年以前と同じようにイベントを開催出来るのか定かではないですし、やはり、まだまだ予断を許さない状況なので、そういう部分では今年を“プレ30周年”としたのは逆にイイんじゃないでしょうかね。良い意味で予行練習というか、今回のショーは2019年以前の状況に戻る前のアイドリングとして考えています。今は緊急事態宣言も解除されて入場者制限もありませんが、今年のショーを企画した当初は来場者も5000人まで、と会場側から指示されていましたから。そういう制約の中で今年は開催していますので。でも逆に会場のスペースを広くとった分、今年はショーのレイアウト的にはいつもより面白くなったかな、とも思いますよ。

※インタビュー後編に続く