自転車は便利で身近な乗り物ですが、さまざまな危険が潜んでいることを忘れてはいけません。万が一、誰かをケガさせたり、損害を与えてしまった場合に備えて、自転車保険に加入しておくことが重要です。
たかが自転車、では済まされない
自転車は免許を取得する必要がなく、子供から大人まで、気軽に乗れる便利な乗り物です。生活の足として使っている人にとってはなくてはならない身近な存在ですが、あまりに日常生活に溶け込んでいるため、さまざまな危険が潜んでいることは見落とされがちです。

万が一、運転中に歩行者など他人をケガさせてしまった場合や、クルマなどに傷をつけてしまった場合は、しっかりと賠償をしなければいけないという認識が必要です。
「たかが自転車の事故」、「自転車で事故を起こしても大事にはならない」……もしそのような認識であれば、改めるべきでしょう。自転車は道路交通法でクルマやバイクの仲間である「軽車両」です。万が一事故を起こした場合も「自転車だから」という言い訳は一切通用しません。
危険運転など法律に違反した事故は刑事上の責任が問われ、相手にケガをさせたり、誰かの物を壊したり傷つけてしまった場合は民事上の損害賠償責任が発生します。被害の程度によって異なりますが、高額の賠償金を支払わなくてはならない事例も発生しています。
たとえば、2020年には男子高校生が夜間にライトを点灯せず、ヘッドホンで音楽を聞きながら自転車を運転していて職務質問中の警察官と衝突し、相手を死なせてしまった事故では9330万円の支払いを命じる判決が出ています。ほかにも数千万円を超える賠償金が発生している事例はいくつもあり、「自転車 賠償金」でインターネット検索すると多くの事例が出てきます。
自転車が起こした事故で数千万円を超える賠償金と聞いて、「よほど悪質な運転だったのだろう」と思うかもしれませんが、それは間違いです。賠償金は被害者の「損害」を補償するためのもので、損害の内容によって金額が設定されます。
つまり、損害内容が同じであれば、クルマだろうと、バイクだろうと、自転車だろうと、同じ金額の賠償金が発生します。そして加害者が大人であろうが子供であろうが、同じように賠償金が発生します。
自転車の運転では事故にならないよう交通ルールを守り、安全に細心の注意を払うことが大前提ですが、それでも「万が一」は起こってしまいます。
最近では事故に備えて、自転車保険の加入が義務になっている地域も増えてきました。自転車の保険には自動車保険や各種の損害保険に特約などで付帯するものや、少ない費用で加入できるものもあります。
コロナの影響で自転車利用者は大きく増え、新生活の節目でもある季節を迎えると、通勤・通学などで自転車を使う人も増えることでしょう。「万が一」の備えがまだできていない人は、自転車保険への加入を検討すべきタイミングではないでしょうか。