バイクのタイヤは「消耗品」の代表格です。走れば減るし、減ったら交換するのが当たり前……というコトは、減らなければずっと使えるのでしょうか? じつは、タイヤにも「賞味期限」があるのです。

擦り減ったタイヤが危険なのはわかるけれど……

 バイクはエンジンやサスペンションなど数多くの部品で構成されていますが、その中でも「タイヤ」はかなり重要なパーツです。なんといってもタイヤは路面と接している唯一の部分なので、性能はもちろん安全性にも大きく影響します。

溝の中の盛り上がった部分が「スリップサイン」で、この部分が接地面と同じ高さになるまでタイヤが減ると、溝の残りの深さは0.8mmとなり、道路運送車両法で定められた最低溝深さに達しているのでタイヤ交換が必須
溝の中の盛り上がった部分が「スリップサイン」で、この部分が接地面と同じ高さになるまでタイヤが減ると、溝の残りの深さは0.8mmとなり、道路運送車両法で定められた最低溝深さに達しているのでタイヤ交換が必須

 とは言え、タイヤは一見すると単なるゴムの塊なので(内部はすごく複雑な構造だが)、なんとなく「減ったら交換する消耗品」というイメージが強いかもしれません。

 それも事実で、たとえば排気量250ccを超える小型二輪の場合は、「スリップサイン」に達した擦り減ったタイヤでは車検に通りません。もちろん車検の無い軽二輪以下のバイクでも、これ以上タイヤが減っていたら危険なことは言うまでもありません。

スリップサインが出ていなくても、古いタイヤは要注意!

 それでは、スリップサインが出るまで減っていなかったら、問題なく使えるのでしょうか? 答えは「NO」です。溝が十分に残っていても、タイヤが古くなっていたら要注意です。

 タイヤの主な素材である「ゴム」は、太陽光線に含まれる紫外線を浴びたり、大気中のオゾンに触れることで徐々に劣化します。この劣化が大幅に進むと、タイヤの表面に細かなヒビ割れを起こすことがありますが、そこまで見た目に変化が無い状態でもかなり劣化している場合があります。

タイヤのグリップ力が低下すると、濡れた路面でいっそう滑りやすくなる
タイヤのグリップ力が低下すると、濡れた路面でいっそう滑りやすくなる

 ゴムが硬くなり、路面の凹凸を吸収する性能(ダンピング性能)が低下するため、グリップ力が落ちてしまいます。

 グリップ力の低下と言われても「自分は飛ばしたり深くバンクしないから大丈夫」と考える人もいるようですが、そんなコトはありません。

 ブレーキの効きが悪くなるため街中の信号停止で制動距離が伸びたり、雨の日の濡れた路面ではより滑りやすくなるので危険度が高まります。またダンピング性能が下れば乗り心地も悪くなり、厳密に言えば燃費も悪化します。

タイヤの賞味期限は「3年」が目安

 というワケで、溝が十分に残っていても、タイヤには「賞味期限」があると考えるのが正解です。賞味期限はおおむね「製造から3年」が目安です。

 同じ銘柄のタイヤでも実際にタイヤ表面に触れて比べると、新品と3年以上経過したタイヤでは、明らかに硬さの違いを感じることがあります。

 それではタイヤの製造日を知るにはどうすれば良いのか? それはタイヤの側面のサイドウォールを見ればわかります。4桁の数字で刻印されており、前の2桁が「週」で、後2桁が「年」になります(英数字の後に4桁表示の場合もアリ)。

タイヤのどちらかの側面に刻印された4桁の数字が製造年週。写真のタイヤは「2021年の第43週(10月末)に製造」
タイヤのどちらかの側面に刻印された4桁の数字が製造年週。写真のタイヤは「2021年の第43週(10月末)に製造」

 どうでしょう、愛車のタイヤは製造からどれくらい経っていますか? もし3年を超えているようなら、速やかに交換することをオススメします。とくにバイクを中古車で購入した場合は、すぐにタイヤの製造日を確認した方が良いでしょう。