7月の日銀緩和予想広がる、金利指針修正では円高阻止に力不足との声

7月の日銀緩和予想広がる、金利指針修正では円高阻止に力不足との声

(ブルームバーグ): 7月の米利下げ観測が強まる中、日本銀行も来月の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が広がっている。予想されているのは政策金利のフォワードガイダンス(指針)の修正で、それでは急激な円高が進行した場合は力不足との声も上がっている。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは20日の会合後のリポートで、7月に「フォワードガイダンスを書き換える可能性が高まっている」と指摘した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストも同会合で「当分の間、少なくとも2020年末ごろまで」に延長する可能性が高いとみる。今回会合前の調査でも、緩和策として最も意識されているのはフォワードガイダンス修正だ。

  日銀は4月の決定会合で「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンスを「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と明確化した。

  ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は18日、見通しが改善せずインフレ圧力が強まらない場合「追加の刺激策が必要になるだろう」と発言。米連邦公開市場委員会(FOMC)は19日の会合で見通しの「不確実性」を指摘し、利下げの準備があることを示唆した。日銀の次回会合は7月29、30日でFOMCの1日前。米連邦準備制度理事会(FRB)がどのような手を繰り出してくるか分からないだけに事前にできることは限られている。

  黒田東彦総裁は現状維持を決めた今回会合後の記者会見で、FRBの7月利下げが市場で完全に織り込まれているのだとすれば「別に7月に何かあっても何も変わらない」と述べ、FRBが市場の予想通りに利下げに踏み切っても円高は進まないとの見立てを披露した。

  しかし、東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは会合後のリポートで、7月の米利下げ観測の強まりに加え、ECBも場合によってはマイナス金利深掘りも辞さない構えを見せる中で、「最もありそうな緩和手段がフォワードガイダンス修正と予想されている日銀が、このままのスタンスで市場の円高圧力に対峙(たいじ)するのは至難の業かもしれない」と指摘する。

長期金利

  黒田総裁は目標の0%を挟んでおおむね上下0.1%の倍程度としている長期金利の変動幅について「具体的な範囲を過度に厳格に捉える必要はない」と指摘。「ある程度弾力的に対応していくことが適当だ」と述べ、必ずしもマイナス0.2%が下限ではないとの見方を示した。この発言を受けて長期金利はマイナス0.185%と16年8月以来の低水準を更新した。

  黒田総裁は一方で、「特に超長期金利が過度に低下すると保険や年金などの運用利回りが低下してマインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意が必要だ」と指摘。現時点でそういった悪影響は明確には見て取れないとしつつも、「現状ややフラット化が進んでいることについては注視」しており、「必要あれば適切に対応していきたい」と述べた。

  元審議委員の木内登英野村証券エグゼクティブエコノミストは前日付のリポートで、海外の金利が低下する中、日銀が国債買い⼊れを減額して長期金利低下に歯止めをかければ、「内外⾦利差の縮⼩から円⾼を招く」と指摘。長短金利操作は「本源的な⼤きな⽭盾を抱えている」という。世界経済が悪化して長期金利が一段と低下すれば、日銀は「長短金利操作を事実上放棄してしまうのではないか」とみている。

©2019 Bloomberg L.P.


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