来週の日銀会合、追加緩和か見送りか依然不透明−決定打に乏しく

(ブルームバーグ): 日本銀行の追加緩和の有無が焦点となる30、31日の金融政策決定会合が1週間後に迫っている。9月の前回会合以降に公表された経済指標や金融市場の動向からは、日銀に直ちに行動を促す決定的な材料は乏しく、追加緩和に踏み切るかどうかはなお不透明だ。

  日銀は金融政策の現状維持を決めた9月会合で、2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)が「損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」との判断の下、次回会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」方針を表明した。黒田東彦総裁が会合後の記者会見で追加緩和に「前向き」などと発言したことで、市場の関心は高まっている。

  この間、国際通貨基金(IMF)が2019年の世界経済の成長率見通しを世界的な金融危機以来の低水準となる3%に下方修正。当初想定した世界経済の年内持ち直しシナリオは後ずれするとの見方が、日銀内でもすでにコンセンサスになっている。

  日本経済の鍵を握る内需の動向は、9月の企業短期経済観測調査(短観)などを踏まえ、日銀内でも外需減少に伴う内需への波及は限定的にとどまっているとの見方が多い。ただ、海外経済の減速が長引く恐れが大きい現状では、輸出や生産に加え、企業マインドのさらなる悪化にも注意が必要。1日からの消費増税による個人消費への影響を含め、外需の回復まで内需が持ちこたえられるかどうかはっきりしない。

  物価自体の足取りも鈍い。9月の全国消費者物価は生鮮食品を除く総合が前年比0.3%上昇と17年4月以来の低い伸び。今後もガソリンなどエネルギー価格の下落が物価の下押し要因となる可能性が大きく、実際の物価に引きずられやすいインフレ期待への影響も懸念されている。

市場は楽観に傾く

  もっとも、全てが日本経済にマイナスの材料ばかりでもない。米中貿易摩擦は解消には程遠いものの一部で合意が成立し、迷走を続けていた英国の欧州連合(EU)離脱問題でも、月末の合意なき離脱のリスクは薄らいだように見える。IT関連財のグローバル調整も進ちょくし、世界経済の下振れリスクが顕在化したとは言い難い。

  金融市場も楽観に傾いている。日経平均株価は今年の最高値圏を維持し、為替相場も足元で1ドル=108円台後半と、政策当局の警戒レベルとみられている100円割れからは大きく乖離(かいり)している。

  UBS証券の足立正道チーフエコノミストは「黒田総裁はいつまでもファイテイングポーズを取り続けることはできない」と指摘。「今回はクロースコール(勝敗の予測が難しい接戦)。景気が非常に悪化していることを示すデータはこれまでのところなく金融市場にも少し安心感のようなものがある」と語る。

  加えて、日銀は限られた政策手段の発動には慎重にならざるを得ない状況にある。金融機関の本業収益の減少や、年金・保険の資金運用難など低金利長期化の副作用も無視できない規模にまで膨らんでいるからだ。

ゼロ回答なら信認に影響も

  ただ、市場で有力視されるマイナス金利の深掘りなどの追加緩和を見送っても、海外経済や物価動向を踏まえれば物価2%目標の達成時期はさらなる後ずれが避けられない。日銀が予防的な政策対応の可能性を発信してきたこともあり、今回会合でのゼロ回答は日銀の信認に影響する可能性もある。

  このため、フォワードガイダンス(政策指針)の修正を含めた政策対応や一段の緩和長期化を見据えた持続性強化策など幅広い対応策が会合で議論される見通しだ。

  元日銀理事でみずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は、今月のインタビューで、10月の日銀会合で追加緩和が決まる可能性は低いと指摘。その上で、政策金利のフォワードガイダンスについて、政策コストの相対的な低さに加え、今年4月の会合で明記した「2020年春ごろ」が近づいていることもあり、修正される可能性が相応にあるとみる。    黒田総裁は先週、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のため訪れたワシントンで「必要があれば金融緩和をさらに行うことも十分に可能」と述べる一方、金融システムへの影響など緩和の副作用に対する配慮もにじませた。経済・物価の下振れリスクとの狭間で限られた緩和カードをいつ、どのように切るのか、日銀は来週の会合に向けてギリギリまで情勢を見極めるとみられる。

(第5段落以降を追加して更新しました)

©2019 Bloomberg L.P.


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