ドラギ総裁が残すのは「3つの単語」と1100万人の雇用−最後の政策委

ドラギ総裁が残すのは「3つの単語」と1100万人の雇用−最後の政策委

(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、「whatever it takes」という3つの単語と1100万人の雇用をユーロ圏に残して去っていく。

  債務危機から共通通貨ユーロを守るために「何でもやる」と宣言したドラギ総裁は、2011年の就任以降の異例尽くしの金融緩和政策を正当性するものとして、雇用の伸びに頻繁に言及する。

  あの手この手の努力にもかかわらず、中銀の主要な責務であるインフレ目標を達成できない現状では、総裁が雇用面での成果を強調するのも無理からぬことだ。インフレ回復への最後の取り組みとして総裁は9月に、一部の反対を押し切り大規模緩和パッケージを打ち出した。10月31日に退任するドラギ総裁は、24日に最後の政策委員会に臨む。

  12年の何でもやる宣言、マイナス金利や資産購入などの危機対策で、総裁は何を達成し、何を達成できなかったのか。

労働市場

  19カ国から成るユーロ圏が13年に不況の二番底を脱して以来の雇用創出は、ユーロを守ったことを除くとドラギ総裁の最大の功績だろう。堅調な労働市場は成長を支え、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱問題に対する最大の防波堤となっている。

経済成長

  経済成長については国ごとの隔たりが顕著だ。ギリシャとキプロスは危機後の緊縮財政で深く傷ついたが、ドラギ総裁の母国イタリアも、国民一人当たりの国内総生産(GDP)が両国に次いで伸び悩んでいる。

インフレ

  ECBの記録的低金利と安価な銀行向け長期ローン、これまでに2兆6000億ユーロ(約313兆円)規模に達している資産購入の主な目的はインフレの回復だが、これはまだ奏功していない。ドラギ総裁の任期中のユーロ圏消費者物価指数上昇率は平均1.2%と、目標である2%弱を下回った。しかし、消費者物価上昇率がマイナスだった時期もあることを考えれば、ドラギ総裁は少なくともデフレの克服を自身の功績に数えて良い。

銀行貸し出し

  ECBが政策の成否を測るもう1つの重要な指標は銀行貸し出しだ。これはECBの刺激策によく反応した。 与信の伸びは4%弱とGDP成長率のほぼ3倍となっている。

ユーロの未来

  ギリシャが通貨同盟を離脱する可能性が取り沙汰された時期もあり、フランスやイタリアにもユーロに懐疑的な勢力があるが、実際には参加国は増えている。ラトビアが14年、リトアニアがその1年後に加わったほか、東欧の他の諸国も参加に意欲を示している。

  ドラギ総裁の任期の終わりに、通貨同盟崩壊の確率を示す指標は過去最低に近い。これが、総裁の究極の遺産かもしれない。

©2019 Bloomberg L.P.


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