日産:年間配当計画撤回、業績予想の下方修正で−回復見通せず

(ブルームバーグ): 日産自動車は12日、今期(2020年3月期)の売上高や利益見通しを下方修正した。中間配当を昨年より18.5円引き下げ、従来の年間配当予想を取り下げて未定とした。カルロス・ゴーン前会長の逮捕からまもなく1年になるが、いまだに業績回復の見通しが立たない状況だ。

  日産は業績予想修正の要因として為替レートが期初予想より円高傾向で推移しているほか、今後の自動車需要の低迷傾向が継続すると想定されることなどを反映させたとしている。売上高と営業利益についてはブルームバーグが集計した市場予想の平均値に近く、四半期ベースでの比較では業績は回復している。

  中間配当は1株あたり10円とし、従来40円としていた今期の年間配当予想を取り下げた。配当予想の取り下げを受け、筆頭株主ルノーの株価は下落。一時、2013年2月14日以来の日中安値となる前日比3.4%安の44.61ユーロまで値を下げた。

  通期の為替レート見通しは1ドル=107円、1ユーロ=120円とそれぞれ3円、9円円高方向に修正した。世界販売台数については従来見通しから30万台引き下げて524万台とした。 

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生アナリストは配当計画の見直しについて、日産の株価はこれまで配当が支えになっていた面もあり、「株価への下押し圧力となるだろう」と指摘。下期(10−3月期)に20円の配当が出たとしても通期の配当利回りは3%程度とトヨタ自動車やホンダなどの想定値を下回り、「不透明感だらけの日産の株を買う理由は相対的に薄い」と述べた。 

  

  12月から最高財務責任者(CFO)就任が決まっているスティーブン・マー常務は横浜市の本社での会見で、米国では販売奨励金の削減などに取り組んでいることが販売台数に影響したと述べた。欧州でも環境規制などで厳しい状況が続いたという。配当については上期(4−9月期)の実績に基づいて決めたもので、配当性向は60%とおおよそ30%で推移していた過去と比べても高い水準にあるとの見方を示した。

北米改善道半ば

  昨年11月19日の東京地検特捜部による突然のカルロス・ ゴーン元会長逮捕劇から間もなく1年を迎える。その間、日産の業績は大幅に悪化し、経営トップの交代を繰り返すなどいまだに混乱から抜け出せていない。

  そうした中、同社を取り巻く市場環境も厳しさを増している。世界経済の減速懸念が強まっている中、新車販売も世界的に低調だ。国内メーカーでもスズキ、三菱自動車、スバル、ホンダが10月以降に今期の利益見通しを引き下げ、7−9月期に2ケタ増益となったトヨタを除けば総崩れとなっている。

  

  日産では7ー9月期に国内の営業損益が268億円の赤字(前年同期は564億円の黒字)に。広報担当者によると、為替のほか海外を含む品質関連費用の負担がかさんだためという。

  経営課題だった北米市場は359億円の黒字と前年同期比0.3%と微減にとどまった。マー常務によると、米国市場では奨励金の引き下げなどを通じて一貫して販売の質を改善している。通期の米国での販売台数見通しを従来の135万台から131万台に引き下げた。

  BIの吉田氏は日産の7ー9月期の営業利益について、赤字すれすれだった4−6月期からは改善したが、想定には届かなかったと指摘。「期待も低いので着地については失望は限定的」と述べた。

  日産は報酬不正の問題を受けて辞任した西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)の後に暫定CEOとなった山内康裕氏の後任として内田誠専務執行役員の昇格を決めたほか、CFOの交代を含めた幹部役員の大幅な刷新も実施。来年2月18日には臨時の株主総会を開き、取締役の選任議案などを決め、新体制の下で巻き返しを図る。

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©2019 Bloomberg L.P.


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