(ブルームバーグ): ドル建て資金調達市場は需要と供給をゆがめる多数の問題を既に抱えているが、これらの影響は米政府債務法定上限の復活が近づく中で強まるばかりとみられる。

  ドルの短期借入金利は、連邦準備制度の資産購入、財務省の政府預金残高圧縮、銀行預金からマネーマーケットファンドへのシフトの影響で、ゼロまたはマイナスになっている。 2019年に一時停止された政府債務の法定上限が7月末に再び適用されれば、財務省が法律上保有できる余剰現金額にも影響するため、こうした状況が悪化する恐れがある。

  財務省は現金残高を債務上限停止時の水準に近い約1200億−1300億ドル(約13兆2000億−14兆3000億円)へと現在の9240億ドルから減らすことを余儀なくされる。これは市場により多くの資金を流入させる。

  JPモルガン・セキュリティーズのストラテジストを務めるテレサ・ホー、 アレックス・ローバー、ライアン・レッシング3氏は現在の需給ギャップを約5850億ドルと推計しているが、これには拡大の余地がある。

  TDセキュリティーズのシニア米金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏は「どう計算しても、現金が多過ぎ、投資先が少な過ぎだ」と指摘。債務上限復活は「頭痛の種をさらに悪化させるだろう」と述べた。

  こうした特異な状況が長引くほど、米連邦準備制度は短期金利、特に実効フェデラルファンド(FF)金利の管理を維持するために介入することを余儀なくされる。当局は既に、翌日物リバースレポ(O/N・RRP)ファシリティーの仕組みの変更を通じて措置を講じているもようだ。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は先月、翌日物RRPファシリティーのカウンターパーティー上限を300億ドルから800億ドルに引き上げるようニューヨーク連銀に指示した。これは短期金利がさらに下がるのを防ぐのに役立ち得る。

  同連銀のエグゼクティブバイスプレジデント、ロリー・ローガン氏は8日の講演で、マネーファンド業界からの幅広い参加を可能にするためにオペの資格要件を調整する可能性を示唆した。

  当局は超過準備の付利(IOER)か翌日物RRP金利、またはその両方を微調整することができる。ライトソンICAPのエコノミスト、ルー・クランドール氏は顧客向けリポートで、最新のFOMC議事要旨は当局が翌日物RRPを「現時点でIOERよりも重要な運用パラメーター」であると認識していることを示唆したと指摘した。ライトソンは翌日物RRPの当面の調整が2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で、それはIOER調整の場合にも当てはまり、2つめの選択肢は3bpの調整と予想している。

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