(ブルームバーグ):

ドイツのメルケル首相は、米国が提案した新型コロナウイルスワクチンの特許適用除外に反対を表明した。提案が実現に向けて十分な国際的支持を集められるか、不透明な情勢だ。

  ドイツ政府報道官は6日、米国の提案はワクチン生産に「深刻な問題」を生じさせると、電子メールで指摘した。また製薬業界は、研究開発への投資で利益が生まれるというインセンティブがなくなれば、各社が将来のワクチン生産に積極的に動かなくなる恐れがあると主張している。

  米提案で下落していた製薬各社の株価は、ドイツ政府の姿勢が報じられると下げを急速に縮小。一時12%安となっていたモデルナは1.4%安に、ビオンテックの米国預託証券(ADR)は15%安から1.6%安へとそれぞれ持ち直した。

  米独など各国はこの問題について、世界貿易機関(WTO)を通じ今後数週間に議論する見通し。欧州連合(EU)の当局者や外交筋は、メッセンジャーRNA(mRNA)技術の知的財産を中国に供与することに米欧で合意できる可能性がほぼないため、協議は数カ月かかり部分的な適用除外にとどまる公算が大きいとの見方を示した。

EU首脳会議で議論へ

  ドイツ政府報道官は「ワクチン生産を制限している要因は製造能力と高い品質基準であり、特許ではない」と指摘。「知的財産の保護はイノベーションの源泉であり、今後もそうでなければならない」と話した。

  欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は同日これより先、米国の提案を支持したものの、優先すべきはワクチン生産量の増加だと付け加えた。EUは7日夕にポルトガルのポルトで開く首脳会議でこの問題を議論する。

  米通商代表部(USTR)のタイ代表は5日、「WTOがどれほど早期に提案を実現できるかは、文字通り、WTO加盟国が一丸となって取り組めるかどうかにかかっている」と述べていた。

  WTOのキース・ロックウェル報道官は6日のオンライン記者会見で、オコンジョイウェアラ事務局長は米国の決断を歓迎しており、12月のWTO閣僚会議までに各国が決定を下すことを望んでいると語った。

(株価下落率を更新し、第5段落以降を追加して更新します)

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