(ブルームバーグ): 株式市場でマージンコール(追加証拠金請求、追い証)ほど恐ろしいものはほとんどない。この恐怖が12日、台湾市場にパニックを引き起こし、高いレバレッジが巻き戻されるときに起こり得る事態についてあらためて世界に警鐘を鳴らした。

  台湾株の指標である加権指数は12日、一時9%近く下落し、取引時間中としては1969年以来の大幅安となった。

  ワクチン接種がほとんど行われていない台湾での新型コロナウイルス感染増加や世界的なハイテク株下落など、台湾株が売られる理由はあったが、急落のスピードはより大きな力が働いていたことを示唆する。

台湾株、1年2カ月ぶり大幅安−コロナ懸念にハイテク売り重なる

  強気相場の懐疑論者は何カ月もの間、レバレッジ急増が株式市場を危険にしていると警告してきた。3月にアルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジションが崩壊すると、世界中がそのリスクを思い知った。

  米国ではマージンデット(証拠金債務)が3月末にまでに8220億米ドル(約89兆7000億円)を超え前年同期比72%増えていた。台湾も規模は小さいながら同様で、証拠金債務は2週間前に約2740億台湾ドル(約1兆1000億円)と年初から46%増え2011年以来の水準となっていた。

  加権指数が3.8%安で引けた11日には証拠金債務が126億台湾ドル減少し、投資家がマージンコールに直面したことが示唆される。12日の記録的株安では一段と規模が縮小したとみられる。

  元富証券投顧のポール・チェン社長は「証拠金取引が過去数カ月、加権指数を押し上げてきた。投資家がマージンコールに直面すれば下げが加速する可能性がある」と述べた。

  個人投資家が取引の約6割を占める台湾市場では、一段安への恐怖が鮮明だった。12日には加権指数に基づくオプション175万枚以上が取引され、16年以降で3番目の規模となった。7757%値上がりしたプットオプションもあった。

  加権指数は4.1%安まで戻して取引を終えたが、投資家信頼感へのダメージは拭えない。

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